2020年3月6日 更新

【経験談】恐怖症のひとつである『嘔吐恐怖症』とは?

世の中には、沢山の恐怖症があるとされています。色々な恐怖症がある中で、あまり知られていない『嘔吐恐怖症』。実は、筆者の私もこの恐怖症に長年悩まされています。そんな『嘔吐恐怖症』について、今回お話したいと思います。

嘔吐恐怖症の私にとって、妊活を決意するのは本当に一大決心でした。元々子供が苦手で、子供のいない結婚生活を送るつもりでしたが、主人の意見を尊重し、度重なる話し合いを重ね、『授かれるのであれば…』と決断。しかし、『妊娠=つわり』『子供=予告なしに突然吐く…よく吐く…』という、この現実に果たして向き合うことが出来るのか?…という問題は頭を離れることはありませんでした。

妊娠が判明してからの10日程はつわりもなく、『ひょっとしてつわりがないかも?』なんて思っていたのも束の間、やはりつわりはやってきました。

最初は、なんかむかむかする…という程度でしたが、日に日にその吐き気は悪化。『ついにまた吐いてしまうかも…』という恐怖心も、恐らくつわりを悪化する要因に多少なりともなったとは思いますが、次第に猛烈な吐き気に四六時中悩まされ、丸1日掛かってもコップ半分の水も飲めず、つわりが始まって約3週間で体重は9キロ減。

猛烈な吐き気にも関わらず、結果的に吐くことは1度たりともありませんでしたが、酷い吐き気で飲食が殆ど出来ず、ケトン体の数値も上がり、重度のつわりである『妊娠悪阻(にんしんおそ)』と診断され、妊娠20週まで点滴治療をすることに。

手首には、吐き気に効くと言われるツボ押しバンドを常にはめ、医師から勧められた、吐き気抑制効果があるとされるサプリを飲み、更には処方された吐き気止めの薬が手放せない日々でした。しかし、何を試しても止まらない吐き気に、パニックを起こしたことも数え切れない程あります。

その後、何とかつわりの期間を乗り越え、迎えた出産。無痛分娩を選択した私ですが、麻酔により吐き気がする可能性があると知っていたので、お産が本格的に始まる前の段階で、医師には嘔吐恐怖症であるということを説明し、予め吐き気止めを点滴に入れてもらい、いざお産へ挑みました。

嘔吐恐怖症 VS 娘の嘔吐

娘の赤ちゃん期のミルクの吐き戻しは少ない方で、たまにけぽっと吐き戻す程度でした。ただ、心配する必要はないと分かっていても、『ひょっとして具合が悪いのかな?』と心配するのは毎度のことでした。

また、酷い癇癪を起すと嘔吐してしまうことが多々ある娘ですが、この場合大量に吐くことはまずないので、これに関しては処理するのも比較的冷静に対処出来ています。

しかし、これまでに原因不明の嘔吐が数回あった娘。まさしく予告なしに突然吐き、その一度は娘が就寝中の出来事でした。嘔吐する娘を介抱しながらも、私の心臓はバクバク…顔はほてっていくけど、手足が氷のように冷たくなり、震えが止まらない…という状況でした。

就寝中の嘔吐があってからというもの、娘が夜寝ていても『今夜は大丈夫かな?』と常に心配している自分がいます。事が起きてから既に1年半が過ぎている上、心配しても吐く時は吐くんだから…と、無駄な心配であることは重々承知しているものの、でも考えずにはいられないのです。

ちなみに、娘が1歳10ヶ月の時、全身麻酔を施した上で両目の手術をしたことがあったのですが、この時も(優秀な医師で信頼していたというのはありますが…)手術そのものが上手く行くか…ということよりも、麻酔による副作用で、麻酔から目が覚めた後嘔吐する可能性があることを酷く心配していた程です。

治療について

嘔吐恐怖症の治療には、カウンセリングや薬物治療の他、『曝露療法(エクスポージャー法)』が有効とされています。この曝露療法は、不安や恐怖を与える物や環境下にあえて自分を晒し、恐怖刺激に少しずつ慣れ、恐怖心を減らしていくという治療法です。恐怖レベルの低い順⇒高い順へと、段階を踏んで課題に挑んでいきます。

例をあげると、治療初期段階では嘔吐を連想させる文字から始まり、イラスト・写真・音・最終的に動画を見る、疑似の吐瀉物を処理する…と言った治療方法です。

娘が生まれる以前から、既に酷かった私の嘔吐恐怖症ですが、娘が生まれてからはより一層悪化していると自分で認識しています。

自分の吐き気や嘔吐に関しては、自分自身のことなので体調不良を把握出来るものの、それが言葉もまだちゃんと話せない娘となると、ある程度予測(機嫌や食べっぷりなどを見て)は出来ても、子供あるあるの予期せぬ事態があるため、常に不安と背中合わせの状態です。

どうにかしたいと思い、産後うつのカウンセリングに通っていた際、嘔吐恐怖症のことも相談はしたものの、『恐怖症』に対してあまり認識のないカウンセラーだったのか軽く扱われてしまい、嘔吐恐怖症に関してはノータッチで終わってしまっています。

克服出来るものなら、もちろん克服したい…と切に思っています。頭の片隅に、常に嘔吐に対する恐怖心が見え隠れする毎日に、自分自身疲れてしまっているのが本音です。ただ、娘を連れてカウンセリングや治療に通うのは正直無理があり、現在治療には至っていません。

そんな中、主人と母親は、私の嘔吐恐怖症をよく理解してくれており、精神的にサポートしてくれているのは救いです。パニックに陥っている時に、『大丈夫だよ!』と言ってくれる人がいる…。それだけでも、本当に助けになっています。

そして、治療以外に出来る自分の吐き気・嘔吐対策としては、吐き気止めの薬を持ち歩いています。歳を重ねると共に、PMS(月経前症候群)が酷くなった私は、PMSのひとつの症状として吐き気があり、寝込んでしまう程きつかったり、吐き気によるパニック状態にも頻繁に陥っていました。そのため、嘔吐恐怖症のことも含めて医師に相談し、薬を処方してもらっています。

とは言っても、むやみやたらに乱用することは決してなく、本当に辛い吐き気の際に服用しています。ただ、吐き気止めの薬がある…ということで安心することができ、『まじない』的な役割を果たしてくれているため、以前の様に吐き気でパニックになることは激減しました。

今後機会があれば、いつの日か治療に通いたいと思っていますが、少なくともそれまではこの恐怖症と共存して生活していくことになりそうです。

まとめ

いかがでしたか?嘔吐恐怖症だけに限らず、何かしらの『恐怖症』に悩まされている人は、実は結構いるものです。

家族や周囲の反応を気にして、恐怖症を打ち明けることが出来ていない人。はたまた、自分自身が恐怖症であることを認識していないケースもあります。

人は何かしらにおいて、そのレベルこそ違えど苦手とする物や怖い物があるものだと思います。傍からしてみれば、『そんなのが怖いの?』『誰だって嫌だよ!』『大袈裟だよ!』と思ってしまうことも、実はその人にしてみたら重大なことであり、日常生活に支障をきたしてしまう程、本人は本当に悩み困っているものです。

もし身近にそういう人がいる場合、悩みをしっかり聞いてあげ、必要であれば治療の手助けをしてあげて下さい。そして、今現在何かしらの恐怖症で悩んでいる方は、医療機関に相談してみるのもいいかもしれません。
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