2025年10月2日 更新

HSCと発達障害の違いを知って子どもを正しく理解|併存する場合の対処法も!

「うちの子敏感すぎるかも…」と感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。最近注目されている「HSC(Highly Sensitive Child)」は、発達障害と混同されやすいですが、実は明確な違いがあるんです。

「うちの子は感覚が敏感で繊細だけど、これってHSC?それとも発達障害?」と悩んでいませんか?

実はHSCは生まれつきの気質で医学的な診断名ではなく、発達障害は脳の特性による診断名という明確な違いがあります。ただし、両方が併存することもあり、正しい理解なしには適切な支援ができません。

この記事では、HSCと発達障害それぞれの特徴と見分け方、HSCと発達障害が併存する場合の見分け方などを解説します。お子さんの特性を正しく理解して、その子に合った最適なサポート方法を見つけてくださいね。

HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)とは?

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HSCとは、『Highly Sensitive Child(ハイリーセンシティブチャイルド)の略で、「ひといちばい敏感な子」としてアメリカの心理学者:エレイン・N・アーロン博士によって提唱されました。

原因がはっきりしない不登校の8割や、5人に1人がこのHSCを持っていると言われており、意外にも身近に存在するのです。

HSCを持つ子供は、感受性が強く相手の気持ちに敏感である一方、周りの言葉やささいな刺激に傷付きやすい特徴を持っています。

HSCは、一見障がいや病気の様に思われますが、実は人が子孫を残していくためにDNAに組み込まれた生存戦略の特性なのです。ただ、その特性を持って生まれただけで何の障がいでも病気でもありません。

海外では広く浸透し、研究も進んでいる国もあります。
しかし、まだまだ馴染みのない日本では、「甘やかされて育ったのでは?」「わがままなだけだ」と、周りの不理解によりHSCの子供たちが追い詰められているのが現状です。

発達障害とHSCの違い

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実は私も、子どもが大きな音に過敏に反応したり、お友達の輪に入れず逃げ出してしまったりする姿を見て、何度もスマホで検索したことがあります。

一見しただけでは発達障害なのか、それともHSCなのかを判断するのは難しいとされ、発達障害との類似点も多いため、病院を受診しても「発達障害の感覚過敏」として間違われてしまうケースもあるようです。

それでは、発達障害とHSCの大まかな違いをご紹介します。ここで紹介する例は、発達障害・HSCを持っている子供によって個人差があります。

発達障害の主な特徴

・集中力が続かず、気が散ってしまう
・動かずにはいられない(多動)
・空気が読めず、相手を傷付けてしまうことがある
・共感する能力が乏しい
・協調することが苦手
・計画性がないまま突発的に行動してしまう(衝動)
・こだわりが強い

発達障害は“自分”を主軸にしているため、自分を周りに合わせることが苦手で、周囲を疲れさせてしまいます。

HSCの主な特徴

・におい、音、光、肌触り等の刺激に敏感
・人が多く集まるところや、騒がしいところが苦手
・些細なことや小さな変化に気付く
・とても慎重で、周りの状況を分析してから行動する
・突然の出来事や、大きく環境が変わったことにパニックになる
・相手の気持ちに敏感に反応する
・感受性や想像力が豊かで、直感力が優れている

HSCは感受性が高いことから周りの変化を敏感に感じとり、自分を周りに合わせ過ぎて、自分自身が疲れてしまいます。

HSCは気質、発達障害は脳の特性

まず最も重要な違いは、HSCは生まれ持った「気質」であるのに対し、発達障害は「脳の機能的な特性」であるという点です。

HSCは、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念で、全人口の約15~20%に見られる正常な気質のひとつです。感覚処理感受性が高く、刺激に対して深く処理する傾向があります。これは病気や障害ではなく、その子の持つ個性や性格の一部なんです。

一方、発達障害は脳の機能的な特性により、日常生活や学習において困難が生じる状態を指します。ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などが代表的で、これらは医学的な診断基準に基づいて判断されます。
HSC 発達障害
定義 生まれ持った敏感な気質 脳の機能的な特性による困難
割合 約15~20% 約6~10%(種類により異なる)
位置づけ 正常な個性の範囲 支援が必要な特性

生まれつきの特性という共通点

ここまで違いを見てきましたが、実はHSCと発達障害には重要な共通点もあります。それは、どちらも生まれつきの特性であり、育て方や環境のせいではないということです。

「私の育て方が悪かったのかな」「もっと早く気づいてあげればよかった」そんな風に自分を責めてしまうママやパパがいますが、それは違います。HSCも発達障害も、その子が生まれ持った大切な特性なんです。

また、どちらの特性も一生変わらないものではなく、適切な理解と支援によって、その子らしく成長していくことができます。

HSCの子どもは、その敏感さを活かして芸術的な才能を開花させることもありますし、発達障害のある子どもも、得意な分野で素晴らしい能力を発揮することがたくさんあります。

さらに、HSCと発達障害は併存することもあります。つまり、発達障害の診断を受けた子どもがHSCの特性も持っている場合があるんです。この場合は、両方の特性を理解した上で、より丁寧なサポートが必要になってきます。

大切なのは、レッテルを貼ることではなく、目の前にいる子どもの特性を正しく理解し、その子に合った環境と支援を整えることです。それが、子どもが自分らしく、のびのびと成長していくための第一歩になるはずです。

HSCセルフチェックシート

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エレイン・N・アーロン博士が作ったHSCのセルフチェックシートがあります。これは誰でも簡単に閲覧することが可能です。項目は23個あり、13個以上当てはまればHSCの可能性が高くなります。

しかし、アーロン博士はこのテストで1つや2つだけ当てはまっていてもHSCである可能性もあると言っています。それだけHSCの特性には個人差があると言うことがわかります。

HSCへの対応

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HSCは病気でも障害でもなく、生まれ持った気質のため治療する必要はありません。
しかし、敏感さ故になかなか受け入れてもらえず生き辛いのはが現状です。

代表的な部分としては、HSCの子どもたちは、五感がとても敏感です。大きな音や眩しい光、チクチクする服のタグなど、他の子が気にならないような刺激も強く感じてしまいます。
でもこれは、単に「神経質」というわけではありません。

HSCの子どもは、受け取った情報を他の子よりも深く、丁寧に処理しているんです。例えば、初めての場所に行ったとき、じっと観察してから行動に移すのは、周りの情報をしっかりと把握しようとしているから。この慎重さは、危険を回避する能力の高さにもつながっています。

さて、そんなHSCの子供にはどんな対応が良いのでしょうか?

安心できる環境を整える

HSCは自己肯定感が低く、何でも完璧にこなそうとしてしまいます。出来ないことや、嫌なことを無理にさせられてパニックにってしまうこともあります。パニックになった時や、落ち着く環境を作ってあげることでクールダウンすることができます。

ありのままを受け入れ、信頼を深める

ひといちばい敏感な子供と、そうでない大人とでは見ている世界は全く異なります。見方ややり方、考え方、感じ方など押し付けるようなことは避け、ありのままを尊重してあげましょう。

HSCの子は、どんなに辛くても、自分からS.O.Sを発することは低いです。子供が「嫌だ」「辛い」と言える関係を築くことが大切です。
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この記事のライター

よっしぃ よっしぃ

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