2019年9月19日 更新

自閉症をもっと知ろう!

『自閉症』という言葉を耳にすることはあっても、実際どの様な障害であるかはまだまだ知られていません。自閉症の特徴や症状を筆者の娘(自閉症)の例と共にご紹介したいと思います。

【赤ちゃん期】

赤ちゃん期の娘は、ミルクの時間やオムツが汚れていても泣くことは殆どなく、基本とても静かで大人しい子でした。音には敏感で、私や主人がするくしゃみ・咳・咳払いに反応し泣く。また、トンネル・薄暗い立体駐車場・エレベーターを嫌い、泣くことにも気付きました。

生後6ヵ月から人見知りが始まり、出掛け先などで相手の顔が見えていなくても、聞き慣れない声が聞こえてくると泣く…ということがよくありました。この頃、主人が2ヵ月間不在。再会した時、娘はパパのことをすっかり忘れており、パパの存在を再認識するまでに数日掛かりました。

離乳食が始まって気付いたことは、味に関しては比較的何でもすんなり受け入れて食べるものの、舌触りにはかなり敏感で、気に入らないと食べてくれない…ということが度々ありました。

検診などで病院に行くと、待合室から診察室へ移動した段階からギャン泣き・大暴れ。その泣き暴れ様は、真横にいる看護師さんや先生の言うことが全く聞き取れない、会話がまともにできない程で、その状況は診察が終わるまでひたすら続くパターンでした。
【1歳~2歳】

言葉は遅く、1歳2ヵ月の段階で習得した単語は『ダディ・ママ・ババ・ハーイ・のま(お腹が空いてる、又は喉が渇いているの意味)』。この後、1歳10ヵ月頃までほとんど単語数は増えずでしたが、2歳を前に少しずつ増えていきました。

1歳半頃から、自分の思い通りに事が進まないと激しい癇癪を起こし、一旦癇癪を起こすと30~40分は続き、その間激しく頭を壁に打ち付けたり、床に激しく転げ回る…ということが頻繁に起こり、この時期の娘は生傷や痣が絶えませんでした。激しい癇癪の間は、娘は体を触られることを猛烈に拒否。とは言え、自傷行為をする娘を放置することはできないので、暴れる娘を無理やり押さえつけて、なんとか落ち着かせようと必死でした。

人見知りは益々エスカレート。スーパーなどで、見知らぬ人から目線を合わせられたり、声を掛けられるようなことがあると、尋常じゃない声で泣き叫び、ストローラーに座った状態で大暴れ。また、私や主人がレジの人や、レジ待ちをしている人とちょっと話すことも嫌がり、やはり泣き叫んでいました。
特に、女性よりも男性に対して、拒否反応が強く出ることもハッキリと分かりました。

病院での反応は、ほぼ変わりなし。娘の担当小児科医(女性)に関しては、付き合いが長くなるに連れ、慣れが出てきて先生を見て泣くことはなくなったものの、他の先生や見覚えのない看護師さんに対しては、赤ちゃん期と変わらずの反応でした。
1歳10ヵ月で眼の手術をした娘ですが、手術までの待ち時間の間、あまりの娘の泣き暴れ様に、見かねた先生から精神安定剤を飲まされました。

髪の毛を触られることが元々あまり好きではない娘でしたが、1歳を過ぎて髪の毛がかなり伸びてきても、結ぶことは絶対に拒否。現在でも変わりません。
【2歳~2歳9ヵ月現在】

言葉に関しては、確実に話せる単語やフレーズが増えてきています。娘には、日本語と英語の2ヶ国語で話し掛けており、理解力はどちらも同等。ただし、娘の口から出てくるのは英語6割:日本語4割というのが現段階での状況です。とは言え、言葉の発達面から見ると、その遅れは歴然としています。

癇癪に関しては、ほぼ変わりなし。自傷行為は以前より減りましたが、以前にはない故意に吐こうとする行為をするようになりました。

人見知りに関しては、初対面の人が女性の場合、泣き叫ぶ行為は見られなくなりました。但し、相手が男性となると、やはり拒否反応が激しいのは変わりません。

特徴的なエピソードとして、娘が2歳5ヵ月の時に義父が我が家へ1泊。その拒絶ぶりは酷く、ストレスから食事を拒否する程でした。義父は孫である娘に声を掛けることも、まともに顔を合わせることもできないまま我が家を後にしました。

この他、目立った行動として、以下の様な例があります。

◎朝5時に起きて、夜20時~20時半に寝るまで、途中約1時間の昼寝以外、ひたすら喋り動き続ける。
◎公園の滑り台で、滑り降りることよりも登ることに強く興味を示し、他の子が滑るのを待っていたとしても、お構いなしで登り続けようとする。
◎散歩時、決まったルート以外の道を行くのはNG。
◎おもちゃを片付ける際、ルール(並べ方や片付ける順番)がある。
◎ご飯を食べる時、使用するお皿やボウルの絵柄の向き、置き場所にこだわりがある。
◎ほんの少しでもルーティンを変えたり、自分の要求が通らない場合など、激しく怒り大癇癪を起こす。
◎車のエンブレムに強い興味を示し、車を見かけるとメーカー名を口にする。
◎つま先歩きが多く、ぐるぐるひたすら回り続けることがある。
【異変に気付いたのは?】

私が娘の行動に違和感を覚えたのは、娘が1歳を過ぎてからでした。月齢の近い周りのお子さんと比べると、明らかに『普通』の域を超えての人見知り・癇癪の酷さ・こだわりの強さがポイントでした。言葉の遅れに関しては、2ヶ国語を話す家庭に育つ多くの子供には、言葉の遅れがある…というのを耳にしていたので、あまり気にしていませんでした。

1歳半検診の時に娘の様子を話すと、先生には『自閉症グレーゾーン』ということで検査を薦められ、2歳検診では、言葉の遅れから『スピーチセラピー(言語療法)』を薦められ、言語療法を週1回のペースでスタート。自閉症の検査に関しては、日本では考えられない話ですが、病院側となかなか連絡が付かず、更には検査が約1年待ち…という状況で、検査にこぎつけることができたのは、最初に検査を薦められてから1年が過ぎていました。
【検査、そして診断】
検査を受ける以前に、娘の生活態度・行動・健康面に関すること、更に私たち夫婦を含む、両方の家族の精神疾患の既往歴などについての質問票を記入し、それを病院に提出していました。

検査当日は、提出していた質問票の答えを基に、それらについて更に詳しく先生と話しをすることからスタート。

娘は、先生が診察室に入って来た時点で、私と主人の椅子の後ろ(部屋の隅っこ)に隠れ、そこから私たちと先生の様子をチラチラと確認…しばらくして、先生が『遊びと言う名の検査』を始め、おもちゃに興味を示した娘は、ようやく隠れるのを止めて先生と遊び始めました。

診察開始から診断されるまで、所要時間は約2時間半。『中度の自閉スペクトラム症』の診断を受け、これに伴い、娘は遺伝子検査をするために血液検査もしました。
【診断を受けて】

診断を言い渡された時、私は安堵7割:ショック3割。実は『きっとそうだろう…』と、ずっと頭のどこかで思っていたからです。そんな私とは逆に、主人はショック7割:安堵3割だったそうで、病院から帰宅後号泣していました。

矛盾してますが、診断を受けるまでは『きっと自閉症だろう…』と思っていたのにも関わらず、娘のやること成すことに四六時中イライラしてしまっていました。そして、『何でこんなに(娘は)大変なんだろう…』『何でそんなことばっかりするの?』『いい加減にしなさい!』という言葉が口癖。

周りのママ友と話すことがあった際、娘の様子を話しても『うちの子も大変だよ!』『何がそんなに大変なの?それって、普通の2歳児の行動だよ!』『ただのイヤイヤ期でしょ?』と言った感じでなかなか理解してもらえず、子供が苦手な自分だから大変…大変って騒いでしまっているのかな?…と、自問自答することもよくありました。

でも、はっきりと診断を受けたことで、ある意味本当に大変な子なんだという『お墨付き』をもらったことは、自分の中で気持ちに大きな変化をもたらしました。今まで、娘の大変と思っていた様々な行動や癇癪に対しても、イライラすることは格段に減り、娘のしたい事に今までよりも気長に付き合えるようになりました。

また、叱る時はいかに娘に分かってもらえるか、より言葉をしっかり選び、癇癪を起こす様な状況はできるだけ回避する…など、娘にとってはもちろん、私たち親にとってもストレスを減らす工夫ができるようになりました。
【娘の今後について】

娘の今後の療育として、現在やっているスピーチセラピーの他に、ABAセラピー*を受けることになっています。

*ABAとは『Applied Behavior Analysis:応用行動分析学』のことを言い、別名『行動療法』と呼ばれています。アメリカでは、その効果の高さから、自閉スペクトラム症児や他の発達障害児の問題行動を改善する療育のひとつとして、広く用いられています。

アメリカでは、学校に通学せず、自宅で学習する『ホームスクール』のシステムが認められており、私たち夫婦も娘にはホームスクールを…と思っていました。しかし、自閉スペクトラム症と診断され、専門家の下で適切な教育を受けさせるために、ホームスクールの道は断念。来年の夏から、スペシャルニーズの子が通うプリスクールに行くことになります。

併存しやすい疾患と障害

自閉スペクトラム症の子は、自閉スペクトラム症以外に他の発達障害を伴うことがあります。
 (201613)

①『ADHD』としても知られている『注意欠如・多動症』
②読み書き、算数が苦手とされる『限局性学習症』
③全身運動(ハイハイや歩くのが遅い・スキップができないなど)や手先の細かい作業が苦手とされる『発達性協調運動症』

また、てんかんの発作や酷い睡眠障害、激しいパニックを起こすなど、日常生活に支障をきたす二次的な症状に関しては、薬物療法が用いられることがあります。

求められるサポートとその必要性

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この記事のライター

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