「乳腺炎」は、産後2~3週間目に最も発症しやすく、発生頻度は約2~33%程度とされています。初産婦に多いことで知られる乳腺炎ですが、筆者は2度の出産を経験し、どちらの時も乳腺炎を発症しています。
特に1人目の時は、食事内容など気を付けたにも関わらず、産後3ヶ月を過ぎるまでは2週間に1度、多い時は1週間に1度のペースで乳腺炎を発症する事態に…。そんな経験を持つ筆者が、実際に乳腺炎を克服した方法や、最新の医学研究に基づくデータを交えつつ、「乳腺炎ケア」に役立つ情報をご紹介します。
乳腺炎とは?
■急性うっ滞性乳腺炎(きゅうせいうったいせいにゅうせんえん)
【特徴】
細菌感染は起こしておらず、基本的には発熱しません。
【症状】
乳房の腫れ、しこり、痛み、部分的な熱感や赤みが発生します。
場合によって軽度の発熱や、わきの下にあるリンパ節が腫れることもあります。
【発症の原因】
・乳管が未発達なため母乳が乳腺に溜まる
・授乳の間隔が空き過ぎる(又は急に断乳する)
・母乳が作られる量と、赤ちゃんが飲む量のバランスが崩れている
・乳首や乳管の構造にわずかな異常がある
・乳管に角質や脂肪が詰まる
・きついブラジャーや抱っこ紐、シートベルトなどで胸を圧迫する
・身体の疲れやストレス
【主な治療方法】
乳首や乳腺をほぐしてから「授乳」や「搾乳」をしたり、炎症部分を保冷剤等で冷やしたりします。
セルフケア(※)で症状が改善するケースも多いですが、あまりにも痛みが強い場合は、無理をせず産婦人科や乳腺外科へご相談ください。
(※)詳しくは「軽度な乳腺炎の治し方」を参照
細菌感染は起こしておらず、基本的には発熱しません。
【症状】
乳房の腫れ、しこり、痛み、部分的な熱感や赤みが発生します。
場合によって軽度の発熱や、わきの下にあるリンパ節が腫れることもあります。
【発症の原因】
・乳管が未発達なため母乳が乳腺に溜まる
・授乳の間隔が空き過ぎる(又は急に断乳する)
・母乳が作られる量と、赤ちゃんが飲む量のバランスが崩れている
・乳首や乳管の構造にわずかな異常がある
・乳管に角質や脂肪が詰まる
・きついブラジャーや抱っこ紐、シートベルトなどで胸を圧迫する
・身体の疲れやストレス
【主な治療方法】
乳首や乳腺をほぐしてから「授乳」や「搾乳」をしたり、炎症部分を保冷剤等で冷やしたりします。
セルフケア(※)で症状が改善するケースも多いですが、あまりにも痛みが強い場合は、無理をせず産婦人科や乳腺外科へご相談ください。
(※)詳しくは「軽度な乳腺炎の治し方」を参照
■急性化膿性乳腺炎(きゅうせいかのうせいにゅうせんえん)
【特徴】
「急性うっ滞性乳腺炎」が進行した結果「急性化膿性乳腺炎」になります。
【症状】
寒気や身体の痛み、震えをともなう発熱(38℃以上)、激しい乳房の痛み、しこり、腫れ、赤み、熱感の症状に加え、わきの下のリンパ節が痛むこともよくあります。症状が進めば、乳首から膿や血が出ることもあります。
【発症の原因】
急性うっ滞性乳腺炎に「細菌感染」をともなう状態です。
原因菌の多くは、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌であると言われ、本来母乳によって洗い流されるはずの細菌が、半日~1日以上乳管内に留まることで発症します。
【主な治療方法】
一般的な治療方法は、助産師による乳房マッサージと、薬物療法(鎮痛剤や抗生物質など)です。炎症がごく初期の場合はセルフケアでも改善しますが、症状が悪化すると「切開」や「排膿」などの外科手術が必要となるため、早期受診(※)による適切なケアをお勧めします。
(※)2018年度より「乳腺炎における乳房マッサージ」が保険診療(自己負担額3割)になりました。ただし、保険適用外の施設もあるので事前確認が必要です。
「急性うっ滞性乳腺炎」が進行した結果「急性化膿性乳腺炎」になります。
【症状】
寒気や身体の痛み、震えをともなう発熱(38℃以上)、激しい乳房の痛み、しこり、腫れ、赤み、熱感の症状に加え、わきの下のリンパ節が痛むこともよくあります。症状が進めば、乳首から膿や血が出ることもあります。
【発症の原因】
急性うっ滞性乳腺炎に「細菌感染」をともなう状態です。
原因菌の多くは、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌であると言われ、本来母乳によって洗い流されるはずの細菌が、半日~1日以上乳管内に留まることで発症します。
【主な治療方法】
一般的な治療方法は、助産師による乳房マッサージと、薬物療法(鎮痛剤や抗生物質など)です。炎症がごく初期の場合はセルフケアでも改善しますが、症状が悪化すると「切開」や「排膿」などの外科手術が必要となるため、早期受診(※)による適切なケアをお勧めします。
(※)2018年度より「乳腺炎における乳房マッサージ」が保険診療(自己負担額3割)になりました。ただし、保険適用外の施設もあるので事前確認が必要です。
■慢性乳腺炎(まんせいにゅうせんえん)
【特徴】
・「急性化膿性乳腺炎」にかかった方が発症する
・長期に渡り慢性的な炎症を繰り返す
・乳管と皮膚の間に「小さなトンネル(瘻孔)」を形成していることが多い
・根本治療には手術が必要となる
【症状】
乳房の腫れ、熱感、発赤など「軽~中度」の症状を繰り返すケースが多いものの、重度になれば38℃以上の発熱、わきの下のリンパ節が腫れるなどの症状も同時に出現します。
乳房内に軽い痛みを伴うしこり(膿のかたまり)ができ、症状によっては乳輪や乳輪付近から膿が排出されます。
【発症の原因】
急性化膿性乳腺炎を治療後も、細菌が乳腺内で生き残りコロニー(集団)を形成することで発症します。
【主な治療方法】
まずは薬物療法(鎮痛剤や抗生物質など)によって乳房内の炎症を鎮めます。その後は、再発防止のため、下記のような外科的処置を行います。
・感染した乳腺と瘻孔を除去する
・乳頭形成術
・「急性化膿性乳腺炎」にかかった方が発症する
・長期に渡り慢性的な炎症を繰り返す
・乳管と皮膚の間に「小さなトンネル(瘻孔)」を形成していることが多い
・根本治療には手術が必要となる
【症状】
乳房の腫れ、熱感、発赤など「軽~中度」の症状を繰り返すケースが多いものの、重度になれば38℃以上の発熱、わきの下のリンパ節が腫れるなどの症状も同時に出現します。
乳房内に軽い痛みを伴うしこり(膿のかたまり)ができ、症状によっては乳輪や乳輪付近から膿が排出されます。
【発症の原因】
急性化膿性乳腺炎を治療後も、細菌が乳腺内で生き残りコロニー(集団)を形成することで発症します。
【主な治療方法】
まずは薬物療法(鎮痛剤や抗生物質など)によって乳房内の炎症を鎮めます。その後は、再発防止のため、下記のような外科的処置を行います。
・感染した乳腺と瘻孔を除去する
・乳頭形成術
乳腺炎チェックリスト
☑︎現在「授乳中」もしくは「母乳が分泌している状態」である
☑︎胸全体(もしくは患部)が熱い
☑︎乳房が疼くように痛む
☑︎乳房を押すと痛い
☑︎乳房が固く腫れている
☑︎乳房内にしこりがある
☑︎体温が37.5℃以上ある
☑︎乳輪や乳輪付近から膿のようなものが出る
☑︎胸全体(もしくは患部)が熱い
☑︎乳房が疼くように痛む
☑︎乳房を押すと痛い
☑︎乳房が固く腫れている
☑︎乳房内にしこりがある
☑︎体温が37.5℃以上ある
☑︎乳輪や乳輪付近から膿のようなものが出る
上記に「3つ以上」当てはまる場合は乳腺炎の可能性があります。
※乳房内にしこりができる「乳管閉塞」や「乳腺症」という別の病気も存在しますので、確信が持てない場合は受診をお勧めします。
※乳房内にしこりができる「乳管閉塞」や「乳腺症」という別の病気も存在しますので、確信が持てない場合は受診をお勧めします。
【軽度な乳腺炎の治し方】助産師さん直伝!乳房マッサージでしこりを取る方法
① ホットタオルで乳房を包み込むように温める
② 清潔にした「親指」「人差し指」「中指」の3本で乳輪をつまみ、ねじりながら乳首を伸ばす。ねじる方向を変えて何度かこの動作を繰り返す。
③「乳輪」から「乳首の先」に向かって、指の腹でコリコリと揉みほぐしていく。
④ 乳輪をつまみ、乳首の先に向かってしごくように引き伸ばす。
⑤ 両手で乳房全体を包み込み、乳房の付け根から左右・縦横にゆっくり動かす。
⑥ 違和感やしこりのある部分に「人差し指」「中指」「薬指」を添え、圧迫(乳房の側面から圧迫する)しながらクルクルとマッサージする。
⑦ ⑥の動作をしながら「授乳」や「搾乳」を行う
【マッサージの注意点】
・力まかせはNG!優しく、力を入れすぎないようマッサージしましょう。・体が冷えると母乳の出が悪くなります。入浴中など、体が温まっている状態でのマッサージが効果的です。
・「痛みが激しい」「発熱している」「マッサージをしても症状が改善しない」などは、自己判断せず病院を受診しましょう。