金の星社から今年発行された「おとなもこどもも気づきにくいからだの心配がわかる絵本」シリーズ。弱視や味覚障害といった、幼い子どもがうまく訴えられない体の心配について、親子で一緒に読んで考えることができるシリーズです。
2021年7月現在3冊発行されており、聴覚・視覚・味覚について、詳しく紹介されています。せべまさゆきさんのポップなイラスト調で、ひらがなとわかりやすい言葉で書かれていますので、お子さんと読んでみてください。大人用の詳しい解説は、最後の「おうちのかたへ」で読むことができます。
難聴児への接し方も学べる絵本
はっきりきこえてるかな?|木場 由紀子
¥1,430
友だちに知らんぷりされた?その子は実は難聴で聞こえにくいのかも。難聴の友だちと遊ぶ時、自分が難聴の時、どんなことに注意したり力をかりたりすればいいのかな?大人も子どもも気づきにくい体の心配がわかる新シリーズ。
難聴は、人とのコミュニケーションだけでなく、危険な場面で車のクラクションに気づかないなど、日常生活での困りごとが様々な場面であります。
子ども同士のコミュニケーションにおいて、「呼んだのに無視した」「ボール取ってって言ったのに取ってくれない」と難聴の子が責められてしまうことも。そして子どもの難聴に気づかず、子どもの言葉の理解が不十分なのを、学習能力のせいだと思い込んでしまう大人もいます。
この本には補聴器を使用している「ゆうなちゃん」が登場します。ゆうなちゃんのお母さんが、教えてくれること。そして難聴の子がどんな風に聞こえているか、どんなことに注意したり周りの人の力を借りたりすればいいのか。保護者の方の理解はもちろん、幼児が自然に難聴のある友達への接し方を学んでいくための本でもあります。
周りの大人が気づいて早期治療に繋げたい「弱視」
はっきり みえているかな?|高橋 ひとみ
¥1,430
物を見る時、横目や細めた目で見ている子は弱視の可能性があります。視力は6歳頃で発達が終わるため、できるだけ早く弱視に気づき、治療を始めることが大切です。弱視のサインや対処について、親子でやさしく学べる絵本です。
乳幼児は、0.2程度の視力があれば普通に生活を送ることができるため、多くの親が子どもの視力不良に気づかずに過ごしているそうです。視力は6~8歳で発達が終了してしまうため、早期に治療を開始すればほとんどの子どもが小学校入学までには問題なく学校生活を送れる状態にまで回復するそうですが、治療が遅れると思うような効果が得られません。
この本には、遠くにいるお父さんが見えなかったり、壁に貼っている給食メニューがよく見えないというひとみちゃんが登場します。病院で検査をしてみると、弱視だとわかります。視力の秘密や、早期治療の大切さが書かれています。
そばにいる大人ができるだけ早く弱視を発見し、治療することが重要だと知り、改めて我が子たちの日常の様子をよく観察すべきだなと思いました。
今増えている、子どもたちの「味覚の感受性低下」
はっきり あじがわかるかな?|植野 正之
¥1,430
ごちそうが並ぶ友だちの誕生パーティー。でもひかるくんは何を食べても味がしません。みんなは美味しそうに食べているのにどうして?子どもに増えつつある「味覚の感受性低下」について大人といっしょにやさしく学べる絵本。
先述の聴覚・視覚もとても大事ですが、正しく味を認識できない、「味覚の感受性低下」の子が増えているそうです。一見、聴覚・視覚よりも優先度が低く思える味覚。でも食べることは、生きることに直結しますよね。
大人ほど食べ物の味を知らない子どもにとって、そういう味だと思いこんでしまうと発見が難しくなります。味を感じにくいことで、より味の濃いものを好むようになると、肥満や糖尿病などの心配も出てきます。脳が大きく発達する子どもの時期に、食品本来の味がわかるように味覚のベースをきちんと作ってあげなければいけないのですね。
筆者もうま味の基礎である「だし」について学びたいなと思っています。この本のひかるくんのように、「味覚の感受性低下」について子どもも大人もいっしょにやさしく学び、健康の源である食を豊かにしていきたいですね。
大人ほど食べ物の味を知らない子どもにとって、そういう味だと思いこんでしまうと発見が難しくなります。味を感じにくいことで、より味の濃いものを好むようになると、肥満や糖尿病などの心配も出てきます。脳が大きく発達する子どもの時期に、食品本来の味がわかるように味覚のベースをきちんと作ってあげなければいけないのですね。
筆者もうま味の基礎である「だし」について学びたいなと思っています。この本のひかるくんのように、「味覚の感受性低下」について子どもも大人もいっしょにやさしく学び、健康の源である食を豊かにしていきたいですね。