2020年8月19日 更新

【体験談】自閉スペクトラム症児のんびりトイトレ

子育ての大きな関門の一つである『トイレトレーニング』。トイトレで悩みを抱えるママたちは多いと思いますが、発達障害を抱える子供の場合、更に困難を極めることが多いです。今回、自閉スペクトラム症である筆者の娘の、オムツ卒業までの道のりをお話します。

・3歳1ヵ月~3歳3ヵ月
今年に入って直ぐ、ある日突然オムツが汚れると「パピ(おしっこ・うんちの意味)」と言って、自らオムツを取りに行くという進歩がありました。

最初の1週間は、「出たよ!」という事後報告は1日1回ペース。2週目以降になると1日平均3回に増え、調子が良い日はほぼ完璧に知らせることもできるようになりましたが、逆に丸1日知らせてくれない日もあったりで、結構波もありました。

そんな中、「パピ」と言ってきたのでオムツをチェックすると濡れてない。そして、その数分後再び「パピ」と言ってくると、今度はちゃんとおしっこしていた…ということが数回ありました。恐らく、このパターンの時は、おしっこが出そうな感覚が何となく分かっていたんだと思います。
・3歳4ヵ月~3歳5ヵ月
おしっこ・うんちが出た際の事後報告が、完璧になりました。シャワー後必ずおまるに座ってくれるようになり、座った際には「イェイイェイ*(おしっこ)、しーしー。パピ*(うんち)、んッー。」と声掛けし、ちょっとしたイメージトレーニングを開始。直ぐに、娘も一緒になって声出しするようになりました。
*イェイイェイ・パピは、どちらも娘が作った造語です。

就寝中のおしっこの回数が、月に2~3回程度にまで激減。おしっこをしたくなった時は、目を覚ましてオムツの中におしっこをし、自らオムツを取りに行き、オムツ替えをしてからまた寝る。又は、寝ている間におしっこした時も、おしっこしたことに気付いて起き、オムツ替えを催促。この間、濡れたおむつのまま朝を迎えたのは1度だけでした。

就寝中のおしっこが殆どなくなったことにより、朝目覚めて直ぐにおしっこするようになったため、毎日ではありませんでしたが、娘をおまるに誘ってみることに。娘がやる気がある時は、オムツを取っておまるに座ってくれましたが、肝心のおしっこは出ず…と言うよりも出さず。少しするとオムツを穿きたがり、オムツを穿いた途端におしっこするパターンが続きました。

この頃には、短時間ならおしっこを我慢できるようになっているのは明らかでした。シャワー後、おまるに座ってる間に、ほんの少しだけ(数滴程度)おしっこ。オムツ以外でおしっこする感覚に慣れていないからか、おしっこが出た途端に意識的に止めてしまってるようでした。すかさず、「おまるで、イェイイェイしちゃって良いんだよ!」と言うものの、やはりしてはくれず、オムツを穿くと我慢していたおしっこを出していました。

ある夜、おしっこをした後、自らオムツを外してオムツ替えを待っていた状態のところで、うんちの波が到来。おまるでするチャンスだと思い、慌てておまるを取りに行ったものの間に合わず、第一弾のうんちをカーペットに…。

その後も踏ん張っていたので、嫌がったものの、半ば無理矢理座らせて、残りのうんちを見事におまるですることに成功。とにかく褒めちぎり、娘も褒められたことで大喜び。そして、今後のトイトレに使えると思い、(汚い話ですが)うんちの入った状態のおまるの写真を撮っておきました。

【3歳6ヵ月 2回目の本格的トイトレ】

ある朝、娘の様子を見ていて、突然(2回目の)トイトレをスタートすることになった筆者母娘。12日間に渡る、娘のトイトレ完了までの流れを1日ごとに振り返ってみます。
gettyimages (235580)

・トイトレ初日
ある朝のシャワー後、おまるに座っていた娘が、ほんの少しおしっこをしているのを発見。前日の夕方5時半におしっこをしたのを最後に、この日は寝起きのおしっこもしていなかったので、絶対にしたいのは明らかでした(この時点で、朝8時半過ぎ)。

少し出たおしっこを娘に見せながら、「オムツにイェイイェイするのを、おまるでしてみよう!イェイイェイ、シーシー!」と、必死に声掛けすること数分。遂におしっこを出した!…と思ったら、出てきたおしっこを見てビックリした娘は、直ぐにおしっこを止めてしまい、再び必死に声掛け。少し躊躇った後、ようやく残りのおしっこをおまるに出し、この日初めておまるでおしっこすることに初成功‼褒めるだけ褒め、娘も鼻高々な様子でした。

この後、夕ご飯の時間までTシャツ1枚のノーパン(オムツ&ズボン無し)で過ごし、その間3回おまるで自らおしっこに成功。しかし、ズボン(オムツ無し)を穿かせると、オムツをしているつもりになってしまったのか、お漏らししてしまいました。

・おまるでおしっこ:4回(ノーパン) ・うんち:0回 ・お漏らし:1回(ズボン有り)


・トイトレ2日目
①寝起き直後、紙オムツにおしっこ
②おまるでおしっこ(ノーパン)
③お漏らし(ズボン有り)
④おまるでおしっこ(したがっているのに気付いたので、すかさずズボンを脱がし、おまるで成功)
⑤おまるでおしっこ(ノーパン)
⑥就寝後、1時間程経ってから紙オムツにおしっこ

・うんち:0回


・トイトレ3日目
①寝起きと同時に、自らズボンとオムツを外しておまるでおしっこ
②③おまるでおしっこ(ノーパン)
④おまるでおしっこ(ズボン有り)
⑤おまるでおしっこ&うんち

・お漏らし:0回

※3日間うんちをしてなかったため、排便時かなりの痛みを伴いギャン泣き(お尻が切れて出血)。泣き過ぎて少し吐いてしまい、そのままシャワーへ直行。その最中、第二弾のうんちを催したため、慌ててバスタブの中におまるを入れ、うんち。


・トイトレ4日目
・紙オムツでおしっこ:1回
・おまるでおしっこ:3回(ノーパン・ズボン有り)
・おまるでうんち:1回(ごく少量)
・お漏らし:1回(パンツ有り)


・トイトレ5日目
・おまるでおしっこ:5回(ノーパン・ズボン有り)
・うんち:0回
・お漏らし:0回


・トイトレ6日目
・おまるでおしっこ:3回(ズボン有り)
・うんち:0回
・お漏らし:0回
・トイトレ7日目 便秘で救急外来(ER)受診
この1週間今までになく便秘気味だった娘。連日、(以前病院から飲ませて良いと確認済みの)便秘薬を飲ませていたものの、トイトレ3日目のうんちでかなりの痛みを経験し、ちょっとしたトラウマに。

ここ数日、うんちの波が来ると愚図りだし、波が去るとまたご機嫌というのを1日の中で数回繰り返し「オムツに出しても良いんだよ」「出してしまったら楽になるよ」など、どれだけ声掛けをしてもダメ。以前アクシデントの延長で成功した、おまるでうんちをした写真を見せても、頑なにうんちするのを我慢していました。

しかし、この日の朝は起きると同時に愚図りが始まり、その愚図りが全く止まらず泣きっぱなし…。しかも、前日の15時半を最後におしっこもなかなかせず、朝6時台と7時台にほんの僅かにおしっこしたものの、出すつもりはなかったけど泣いた拍子に出たという感じで、明らかに様子がおかしかったのです。

かかりつけの病院に連絡するも、コロナ禍で病院は患者を殆ど受け付けておらず、電話による診察しかできないということで、ER受診を勧められ、朝8時ERへ向かうことに。

ERに到着し、カーシートから降ろそうとしたところで、おしっこをしていたことが発覚!この時紙オムツをしていたのですが、あまりに大量のおしっこに、娘はもちろんシートもびしょ濡れ。車のトランクで着替えとオムツ替えを済ませ、いざ受診。

状況を看護師さんに説明し、医師が登場するのを待っている最中、我慢の限界を超えた娘は遂にうんち!!結局何の処置をすることもなく、ER受診は終了。この日は、帰宅後も紙オムツを穿かせて様子を見ることにし、午前中に更に2回うんち。

午後になると、紙オムツを自分で外し、おまるでおしっこはしていました。

・紙オムツでおしっこ:4回
・紙オムツでうんち:3回
・おまるでおしっこ:4回(紙オムツ有り)
・お漏らし:1回
・トイトレ8日目
・紙オムツでおしっこ:2回(朝イチと夜中)
・紙オムツでうんち:1回
・おまるでおしっこ:7回
・お漏らし:1回


・トイトレ9日目
うんちは、やはりおまるでしたがらず…。紙オムツを穿いたままで踏ん張り出したので、急いで「おまるでしよう!」と声を掛けるも、ほとんどをオムツの中に出してしまい、最後のほんの少しだけおまるで出すことに成功。

・おまるでおしっこ:10回(紙オムツ有り・ズボン有り)
・紙オムツでうんち:1回(最後の少しだけおまるでうんち)
・お漏らし:0回


・トイトレ10日目
・おまるでおしっこ:12回(紙オムツ有り・ズボン有り)
・うんち:0回
・お漏らし:0回


・トイトレ11日目
・おまるでおしっこ:10回(紙オムツ有り・ノーパン・ズボン有り)
・紙オムツでうんち:1回
・お漏らし:0回


・トイトレ12日目・山を越えた日
なかなかおまるでうんちをしたがらない娘でしたが、この日は朝のシャワー後、ノーパンで過ごさせていたところ、うんちの波が到来。ノーパンだったこともあり、自らおまるに座りうんちに成功‼うんち時に、積極的におまるに座ったのはこの日が初めてでした。

これをきっかけに、おまるでうんちをすることに抵抗がなくなったのか、この日はこの後更に2回おまるでうんち。2回目以降は、ズボンも穿かせていましたが、ちゃんとズボンを脱いでうんちに成功することができました。

・おまるでおしっこ:12回(ノーパン・ズボン有り)
・おまるでうんち:3回(ノーパン・ズボン有り)
・お漏らし:0回


こうして、娘のトイトレは12日目で完了しました。現在、トイトレ完了から1ヵ月半が経過。念のため、今でも就寝時と外出時には紙オムツを穿かせていますが、今のところお漏らしはゼロです。

娘のトイトレを振り返って

トイトレを始める前から、自閉スペクトラム症である娘のトイトレは長期戦になると覚悟していました。強いて言えば、小学校に上がる頃まで掛かるかも…と思っていた程です。そして、焦ってもしょうがないと最初から思っていたので、焦りは一切ナシ。ただ、一つ心配していたのが、オムツ問題でした。

紙オムツは、夜用オムツであれば、まだ上のサイズがありますが、普通のオムツでは一番大きいサイズでも既にぴちぴちで、サイズアウト目前。そして、日中使用している布オムツも、スナップボタンを全て留めることができなくなってる状態で、トイトレが長期戦になった場合の、オムツ代を心配していました。

そんな心配の中、2週間弱でトイレをマスターしてくれたのは、あまりに予想外のことで驚いたというのが本音です。

【成功のポイント】

成功のポイントを自分なりに考えた結果、以下の様なことが挙げられます。

◎一般的なトイトレ適齢期ではなく、娘の成長スピードに合わせて開始したこと
⇒1度目のトイトレは例外ですが、膀胱の成長(※)・言葉の成長・総合的な娘の成長具合を見て、その時その時で段階を踏んでトイトレを進めたことが、功を奏したと思っています。

※ちなみに、おしっこの間隔は2~3時間空くこともあれば、2時間を切ることも。丸1日のおしっこの回数は5~6回が一番多いものの、多い時で10回前後の日もあれば、逆に極端に少なく3回という日もごく稀にあります。しかし、おしっこを我慢することができているのが分かっていたので、本格的なトイトレに踏み切りました。


◎親のトイレの様子を見ていた
⇒娘には、トイトレのアニメの動画を見せましたが、それは一度きり。その代わり、筆者や主人のトイレの様子はよく目にしていました。娘が後追いするようになってからは、トイレのドアを閉めると、怒って泣き出してしまうことが続いたため、その頃から開けっ放しでするようになり、その延長線上で目にするようになった…というのが、実際のところです。

しかし、このお陰で「今、マミーはイェイイェイしてるんだよ~」など、教えることもできたので、これもトイレを学ぶ一つの手ではあったのかな…と、今となっては思っています。


◎布オムツの使用
⇒1歳半頃から、長時間のお出掛け・就寝時・娘、又は筆者の体調不良時以外は、布オムツで日中過ごしていました。そのため、ある一定時期から「オムツが濡れたら気持ち悪い」ということを自ら学んでくれたため、本格的なトイトレを初めた段階で、トレーニングパンツ(紙製・布製)は購入しませんでした。

少し余談になりますが、トイトレ期間中の娘は、殆どがノーパンかズボン有りの状態で、布パンツは穿かせていませんでした。実際のところ、この段階では布パンツは購入すらしておらず、購入したのはトイトレ完了後でした。

布パンツを購入しなかった理由は、ある日突然トイトレを始めたことで用意していなかった。そして、同じ漏らされるなら、布パンツでもズボンでも同じだなと思い、だったら既に手持ちにあるズボンを直に穿かせておけば良いかな…という、ズボラな筆者ならではの理由です。


◎おまるを使用したこと
⇒娘の場合、補助便座ではなく、おまるにしたのは正解でした。日中、おまるはリビングに設置。シャワー時は、バスルームへ…就寝前には寝室に…と、簡単に移動させることができるため、したい時に直ぐに用を足せる環境が整っていることは、娘にとってプラスに作用したと思っています。また、その都度娘をトイレに連れて行く手間が省けた点では、筆者にとっても楽でした。

おまるは、排泄後の処理・掃除を手間に思う人も多いと思いますが、筆者の場合、これまで布オムツを使用し、汚れる度に下処理として手洗いしていたので、おまるの掃除はそれと比べると全然楽で苦に感じていません。
我が家のおまる

我が家のおまる

こんな感じで、日中はリビングにおまるを置いています。おまるの下に敷いているのは、娘の赤ちゃん時代のオムツ替えシート。防水・撥水加工のしてある素材なので、おしっこの飛び散りがあっても、サッと洗い流すことができるため、重宝しています。

また、娘がお昼寝をするカウチには、万が一寝ている最中にお漏らししても大丈夫なように、カウチカバーの上にお昼寝マットを敷いています。
◎トイレに誘わない
⇒一般的に、トイトレ中は一定の時間になったらトイレに誘うことをしますが、筆者はそれをしませんでした。誘うのは、お出掛け前と就寝前のみ。「やってみようよ!」と頻回に誘うと、逆にやりたくなくなる…又は、あえてやらない…という、娘の性格を考慮した上で、絶対に座って欲しい時以外は、娘に任せていました。


◎失敗しても決して怒らず、成功したら褒める
⇒これはトイトレの定番ですが、やはり重要なことだなと痛感しました。完璧主義な部分がある娘は、お漏らしすると自分の失敗が許せず必ず泣いていましたが、失敗しても大丈夫なこと、次はおまるでしてみようね!…とその都度励ましました。
そして、成功した時は、大袈裟なくらいに褒めました。普段、テンションが高いことがまずない筆者なため、そんなママがテンション高く喜び、褒めてくれた…ということは、娘にとってかなりの自信に繋がっていました。それもあってか、今でもおしっこ・うんちをする度に、娘はテンション高く、自画自賛しながら私にしたことを報告してくれています。
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この記事のライター

Sky_Macanoni Sky_Macanoni

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