2021年10月23日 更新

保険適用されるまで不妊治療延期を検討する人は全体で8割超!不妊治療に関する意識調査

来年春、保険適用が開始することで注目度が高まる不妊治療!「治療を先延ばしにすると手遅れになるケースも」専門家・浅田レディースクリニック浅田義正先生が解説します。

不妊治療の保険適用により不妊治療を検討する人について

「近い将来、妊娠を希望している」人で、現在または過去に不妊治療を行った経験がない人は、全体の73.0%と大多数*図7
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ないと回答した人の中で、不妊治療が保険適用された場合不妊治療を検討したい人は、56.1%と、半数以上が不妊治療を検討していることがわかり、不妊治療が保険適用された場合、不妊治療を行う人、検討する人が増えると予測できる*図8
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「現在または過去に不妊治療を行った経験がある」または「検討中である」とお答えの方に「不妊治療の保険適用範囲が広がることを受けて、治療の開始時期の延期を検討しますか。」と質問したところ、全体の83.9%は「延期を検討する」と回答。特に30代は「延期を検討する」と回答した人が92.3%という結果になった。
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不妊治療の経験者の中には、治療開始タイミングを後悔する人も。

「現在または過去に不妊治療を行った経験がある」人で、20代から治療を始めた人のうち、「もっと早く始めれば良かった」と回答したのは33.0%。20代で治療を開始した人でも3人に1人が開始時期を後悔しているという結果になった*図10

比較して、「現在または過去に不妊治療を行った経験がない人」に対して、「不妊治療を検討もしくは開始する場合、何歳からの開始が適切だと思いますか。」と伺ったところ、30代が適切だと思うと回答した人は約55.0%*図11

20代で開始した人の内3人に1人が早く始めれば良かったと回答しているなかで、30代が適切だと考える人が半数を超えることが判明し、治療経験者と未経験者の間でギャップがあることが明らかになった。
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専門家・浅田レディースクリニック浅田義正先生が解説

不妊と生理の関係性について。生理の悩みがあるときは、産婦人科へ行くべき?

生理が不順であるというのは、何かホルモン的な異常があると考えるべきで、できれば産婦人科を受診したほうが良いと思います。また不妊治療専門の私としてはそこでその方の生理不順になっている原因をちゃんと特定してほしいと考えています。

というのは、卵子というのは生まれる前に1回だけ作られて2度とつくられない特殊な細胞です。産まれた時にいちばん数が多く、その後は数が減っていきます。生理が不順であるということは、卵子がほとんどないその前触れかもしれません。

一般的には51、2歳で閉経すると言われており、その10年前くらい42,3歳くらいが自然妊娠の限界といわれていますが、100人に1人くらいは30歳前後で閉経するといわれています。ですから、もし卵が少なくなって月経不順になっているのなら、早く卵がなくなってしまうことを想定してその後の人生設計を考えなければなりません。

また逆に卵巣予備能が高いAMHという検査の値が高い「多嚢胞性卵巣症候群」の人では、なかなか排卵がうまくいかないということで生理不順になっていることがあります。生理痛が特別ひどいということがあれば、子宮内膜症があるかもしれないですし、その治療が必要になるかもしれません。

ということで、産婦人科には行くべきですし、いざ赤ちゃんがほしいと思った時に不利になるような、子宮内膜症や早発閉経や早発卵巣不全などの自身の疾患を前もって知っておくことが大事なことになります。

体外受精とは?どんな治療法?人工授精と何が違う?

人工授精は昔から行われている治療で、子宮の中の子宮頸管や子宮体部の中に精子を入れる治療法です。精液は色々な物質や雑菌も入っていますので、きれいにあらってから子宮内に入れていくというのが主流で、精子の数が少ない方や運動が弱い方が対象です。

一方、体外受精は人工授精とは全く違い、卵巣を刺激して成熟卵を採り体外で受精させます。精子を振りかける、あるいは精子を1匹、顕微授精の手法で卵子の中に入れて受精卵を作り、しばらく培養してから子宮に移植します。

人工授精と体外受精は言葉でいうと同じように感じる方がいるかもしれないですが、子宮内媒精と体外受精と言い換えることができるでしょう。

不妊治療の保険適用待ちはリスクになる可能性も?不妊治療を開始する時期は何歳がいいの?

20~30年前の不妊治療は、卵管が詰まっている、精子が少ないなど原因がある人を不妊症として治療していました。しかし現在は外来患者さんの平均年齢が40歳くらいとなり、多くの人が卵子の老化による「原因不明不妊」として治療されています。

妊娠率というのは35歳くらいからどんどん減っていきます。ですから40歳近くになっている方が来年の保険適用のために半年待っていると、その間に妊娠率が低くなり、より治療が不利になるということを考える必要があります。

また、不妊治療を開始する時期については、もともと不妊症でなければ、3ヶ月で6割、半年で7割、1年で8割妊娠すると言われています。ですから、何歳であっても不妊治療の定義は、1年避妊していないにもかかわらず妊娠しない場合を不妊症と定義していますので、結婚されて普通に夫婦生活があっても妊娠できなければ不妊治療はどの年齢においても開始すべきだと思います。

年々どんどん妊娠しにくくなるということが明らかですので、始めるのが遅いということはありません。子育ての環境が整えばできるだけ早く始めていただきたいと思います。また卵巣の中に残っている卵子の目安である卵巣予備能、AMH(アンチミューラリアンホルモン)の検査をぜひ早めにしていただき、そのうえで色々な人生設計に役立てていただければと考えます。
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この記事のライター

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