2019年11月24日 更新

【ママの体験談】産後うつに悩むママへ

思っているより他人事ではない『産後うつ』。出産を経て、今まさに産後うつで悩んでいるママ。そして、これからママになる人にも、是非知って欲しい産後うつのこと。筆者の体験も交えてお話します。

長い妊娠期間を過ごし、出産という大仕事をやり遂げた先には、まさに不眠不休の育児が待っています。

大変ながらにも、赤ちゃんの笑顔や仕草に元気をもらい、それなりに育児を楽しむことができる!と思っていたのに、蓋を開けてみたら、時に悲しい気持ちや不安に襲われたり、涙もろくなってしまう…。

こんな経験をしたママは、実は多いのではないでしょうか?

このような感情は『マタニティーブルー』と呼ばれ、産後直ぐに始まり、2週間程で治まると言われています。マタニティーブルーとは“一時的なうつ状態”のことを言い、感情のコントロールが上手くできなくなり、不安定な状態になります。

マタニティーブルーと聞くと、妊娠中のみに起こるのでは?…と思われる方もいるかもしれませんが、妊娠中だけではなく、産後にも起こる症状です。程度こそ個人差がありますが、出産経験をしたママの約半数が経験すると言われています。

〚主な症状〛
◎気分の落ち込み
◎不安による不眠
◎悲しい気持ちになる
◎不安や孤独を感じる
◎涙もろくなる

〚主な原因〛
◎出産後のホルモンバランスの急激な変化
◎慣れない育児への不安
◎出産の疲れ&痛み
◎睡眠不足

もし、マタニティーブルーかも?…と思っても焦らないで下さい!マタニティーブルーは、あくまでも一時的なものです。ネガティブな気持ちを持ってしまう自分を否定せず、大変な育児の真っ只中ではありますが、少しでも心と体を休めるよう心掛けて過ごしていれば、通常自然と抜け出せることがほとんどです。

産後うつとは?

マタニティーブルーは、産後2週間程で落ち着くものですが、『産後うつ病』になるとこの状況がより深刻になり、出産したママの10%~15%が罹るという報告があります。

産後うつは、日常生活に支障をきたしてしまう程の心身の不調を起こし、期間も数週間~長い場合数年(1~2年)もの間続いてしまうこともあります。マタニティーブルーは病気とはみなされませんが、産後うつは心の病気であり、放っておくことはお勧めできません。
【産後うつの主な症状】

☑極度な悲しみ・不安・怒り
☑感情の起伏が激しくなる
☑重度の不安から、パニックを起こしてしまう
☑訳もなく涙が出てくる
☑全てのことに悲観的になってしまう
☑様々な物事に対して無関心になり、今まで楽しいと思えていたことすら、楽しいと思えない
☑死んでしまいたい…と思うことがある
☑自身(ママ)や他者(赤ちゃん)を傷付けたい衝動に駆られる
☑無気力
☑絶望感
☑子供を可愛いと思えない
☑子供の世話が苦痛に感じる
☑子供に対して無関心になる
☑この様な感情を持つことに罪悪感を抱く
☑母親失格だと感じる
☑眠れない・寝すぎる
☑食欲不振や食欲過多
☑性欲減退
【産後うつの主な原因】

産後うつの大きな原因として考えられるのは、身体的・精神的・更に環境を取り巻く状況下において引き起こされると考えられています。

〘ホルモンバランスの変化〙
妊娠中に増えた女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン・甲状腺ホルモンなど)が、出産後急激に減ることによって、心身共に影響を及ぼします。

〘出産疲れ・育児疲れ〙
出産における、ママへの体のダメージは「交通事故に遭うのと同じくらい」、そして始まった育児は「終わりなきフルマラソン」と、表現されるほど過酷なものです。
出産に伴う体の痛み(子宮収縮・会陰切開・帝王切開)や悪露、授乳の痛みに睡眠不足。極度の疲れから、精神的にも余裕がなくなり、産後うつのリスク要因となり得ます。

〘周囲のサポート〙
不眠不休での育児。周りのサポートがあるかないかで、ママへの負担は大きく違ってきますよね。家族が近くにいない…事情があって家族には頼れない…など、理由は何であれ、周囲のサポート無しで赤ちゃんのお世話をする負担は計り知れないものがあります。
しかしながら、サポートがある場合でも、サポートしてくれる側からの過干渉(赤ちゃんのお世話の仕方や育児方針など)により、精神的に大きな負担になってしまうことも。

〘環境の変化〙
妊娠・出産前まで働いていたママ。妊娠・出産を機に退職、又は産休・育休を取得し、これまでとは違った、家での生活がメインとなる生活スタイルへのシフトチェンジ。ママの中には、一日の殆どの時間を家の中で過ごすことで閉塞感を感じたり、社会から取り残されてしまった様に思えることも。社会との繋がりを感じることができなくなり、それが強い孤独感・疎外感を生み出してしまうことがあります。

〘理想の母親像〙
SNSやテレビ、育児本や雑誌を見ると、育児に関する情報が溢れています。それらの情報を、自分にとってある意味都合よく取捨選択できれば問題ありませんが、「こうでないといけない!」と、情報が絶対的存在になってしまうと、その理想像がママ自身を苦しめてしまうことに。
出産後間もなかったり、小さい子供がいるのに、家の中は掃除が行き届き整理整頓。手の込んだ料理も作ってる。更には、綺麗にお化粧して、ルームウェアもオシャレ♪そんな「理想のオシャレママ」をSNSや雑誌で見かけ、「自分もこうありたい…こうあるべき!」と、自分にプレッシャーをかけてしまい、理想と現実のギャップにストレスを感じ、産後うつのリスクを高めてしまうことも。
上記以外にも、産後うつの要因として考えられるものが以下の通りです。

◎妊娠前や妊娠中に、うつ病を患ったことがある
◎過去の妊娠時に、産後うつに罹ったことがある
◎近親者(家族)にうつ病の人がいる、又はいた
◎パートナーや家族からのサポートが希薄
◎夫婦関係・経済的に問題を抱えている
◎生まれた赤ちゃんが健康問題や障害を抱えている

筆者の産後うつ体験談

筆者の私も、産後うつ経験者の1人です。子供好きではないものの、自分とは縁がないと思っていた産後うつ。そんな私の経験談をお話ししたいと思います。
【産後(入院中)の心境】

アメリカで妊娠・出産をした私ですが、アメリカでは通常出産後1泊2日で退院。帝王切開の場合でも、2泊3日で退院というのが一般的です。私の場合、無痛分娩で出産し、母子共に健康でしたが、退院を前に娘が黄疸を発症し、黄疸治療のため入院延長が決定し、最終的に5泊6日の入院でした。

出産に関しては、初産にも関わらず陣痛~出産まで約7時間程でスムーズな方でしたが、会陰切開したものの裂傷が酷めで、裂傷度は中度(*3段階評価の2)の診断。産後、子宮の収縮の痛みよりも何よりも、股の縫合部分が四六時中痛く苦しめられました。

*会陰裂傷の度合いは、通常4段階評価のようですが、私の出産した病院では3段階評価でした。

アメリカの病院は、最初から母子同室。病院によってもちろん差はありますが、日本のように看護師さんが、赤ちゃんの基本的なお世話の仕方を教えてくれる…なんてことはなく、基本放置プレイ!

私は、2人部屋に1人で入院していたのですが、朝~夕方(9時半頃~16時頃)までは主人がいてくれましたが、夜は完璧に1人。数時間おきに、看護師さんが娘の様子をチェックしに来る以外は、とにかく1人で娘の世話。

そして入院2日目の夜、マタニティーブルーがやってきました。この日の夜から胸がカチカチに張り、その痛みに耐えていたところ、無性に悲しくなり涙が…痛いからでもなく、とにかく悲しい。普段、1人でいるのも全然平気で、むしろおひとり様を好むほど。それなのに、娘と2人きりでいることに物凄い心細さを感じたのを覚えています。

・右も左も分からない、初めての育児で不安…
・夜間1人で娘の世話をするのが怖い…体力的にキツイ…
・股も痛ければ胸も痛くて、眠いのに眠れない…
・それなのに、主人は自宅でゆっくり寝ていられる…

自宅に戻れば、自分の時間を満喫できる主人に対して、その選択肢は自分にない。それなのに、朝病室にやってきた主人に『昨日は、よく寝れなかったんだよね』『もう少し寝ていたかった』などど言われ、主人に対してのイライラが募っていき、そのイライラの矛先は、直ぐに娘にも向いてしまいました。

妊娠中、重度のつわり『妊娠悪阻(おそ)』に罹り、点滴治療をしていたのですが、あれだけ辛い思いをしたのに、産んでからもこんなに苦しめられるなんて…と思うように。『(娘を)生まなければ、こんな思いしないですんだのに…』と、娘の存在を悲観的に思い始めた自分がいました。

・子供好きじゃない人間が、子供を持つという選択は(娘の妊娠は計画的でした)してはいけなかったんだ…
・こんな事を思ってしまう母親を持って、娘に申し訳ない…
・可愛い、愛おしいなどの感情が沸かない…
・この子を愛せないかもしれない…
・僅かな睡眠から目が覚めた時、このままずっと目が覚めなければ、この苦しみを味わないですむのに…

などの感情も、同時にありました。

入院2日目以降は、主人を含め、看護師さんや医師の何気ない一言に、異常なまでに怒りを覚えたり、逆に悲しくなったり。この時の私は、喜怒哀楽の『喜』と『楽』が欠如した状態でした。1日でも早く退院して、*育休中の主人の助けを借りられる自宅で過ごしたい…でも、娘の黄疸がクリアできず、医師から『(退院は)まだですね』の言葉を聞く度に落胆していました。

*主人の仕事(組織)は、父親には2週間の育休が保証されており、主人はこの育休と有給休暇を組み合わせて、1ヶ月の休みを取得。
【退院後の心境】

やっと退院してからは、主人の助けもあって育児の負担が減ったのにも関わらず、1日に何度となく、どこからともなく突然襲ってくる悲しみの波。一旦その波に襲われると、数十分に渡って号泣。

アメリカは、生後1週間・2週間・1ヶ月検診とあるのですが、病院の待合室や、医師との何気ない会話の途中でも、容赦なくその波は押し寄せてきました。『こんな所で泣いてしまっては…』と思っても、感情をコントロールできず、その場でボロボロと泣いていました。

娘の検診の度に、ママの精神状態のチェック(質問票に記入)もあるアメリカ。私の場合、マタニティーブルーを域を超えて、産後うつだろうな…と、早い段階で自覚していました。

娘の1ヶ月検診の後、私の状態を心配した小児科医が精神科に連絡を取ってくれ、急遽別室で精神科医に今度は私が診てもらうことに。医師と約30~40分話をし、明らかに『産後うつ』であることを言われました。
【産後うつの治療】

診断を受け、週1回のペースでカウンセリングに通うことに。カウンセリングと共に、抗うつ剤を飲むことも勧められましたが、抗うつ剤を飲むと、*母乳をあげることができなくなると聞き、私は薬の服用はせず、カウンセリングのみでの治療を選びました。

*私が勧められた薬は、授乳不可の薬でしたが、薬によっては授乳を続けられる薬もあるようです。

母乳育児にこだわりがあった訳ではありません。むしろ母乳の出はそれほど良くもなく、粉ミルク8割:母乳2割といった感じだったので、母乳を止めないといけなくなっても、娘的には問題なかったはずです。

『じゃあ、なぜ抗うつ剤を飲まなかったのか?』というと、娘との絆を感じることができていなかった私から、母乳をあげるという授乳行為を取ってしまったら、ただですら希薄な娘との結び付きに拍車がかかってしまうかも…と思ったのが、薬の服用に踏み切らなかった理由です。そして、医師も私の意見を尊重してくれ、薬を無理強いされることはありませんでした。
〘カウンセリング〙
カウンセリングでは、それまでの自分の体調(精神面も含め)・娘の様子・ネガティブな状態に陥った時にどう対処すると良いか…といった内容を話しました。

主人の仕事が休みの時は、娘を主人に預けてカウンセリングに行き、1時間ちょっとの短い時間ながら、娘から離れることができたのは、私にとって良い気分転換でした。でも、主人とのスケジュールが合わなければ、当然娘を連れてのカウンセリング。次第に娘を連れて出掛けること自体に、大きなストレスを感じるようになり、カウンセリングをキャンセルすることが増え、そのうち通うことを完璧にストップしてしまいました。

カウンセリングを止めてから、うつの状態が悪くなったか?…というと、私の場合そうではありませんでした。時間が経つことで、慣れないなりにも育児に慣れていくことができ、娘もまとまって寝てくれる時間が増え、精神的にも肉体的にも息詰まることが減ったからです。

しかし、娘が生後6ヶ月~8ヶ月の2ヶ月間、主人が出張で不在。この時期は、また感情の浮き沈みと向き合う日々になりました。

・海外での育児、そして家族のサポートが全くない状況で、何かあった時のこと(病気やケガ・事故など)を考えては、不安に押しつぶされ泣く…
・同じく海外生活をしている周りの日本人の人で、親が助けに来てくれたり、日本へ一時帰国できる人を見ては羨ましく、そして妬ましくて泣く…
・娘の離乳食の食べが悪いと泣く…
・娘と同じくらいの月齢の親子が、あちこちお出掛けしていたり、プレイデートさせている話を聞いて、娘に何一つできていないことに、ダメな母親だと思い泣く…

でも、娘の世話ができるのは自分しかいない!と、この時は何とか乗り切ることができました。
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この記事のライター

Sky_Macanoni Sky_Macanoni

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