夏休みが3ヶ月間もあるイタリアの小中学校
日本の小中学校は、4月に新学期が始まり、翌年3月に終業式を迎えます。一方欧米諸国では、9月から新学期が始まり、翌年6月に終業式を迎えるのが一般的で、イタリアも同様です。
ここで注目したいのが、夏休みの期間。
6月に終わり9月に始まるということは、その間は学校はお休みです。季節的に「夏休み」と呼ぶとして、その期間なんと3ヶ月!
そうです、イタリアの子ども達には夏休みが3ヶ月もあるのです。
日本とイタリア、授業時間に違いはあるの?
余談ですが……
イタリアには3ヶ月も夏休みがあって、授業時間に支障はないの?と思いますよね。筆者自身も気になり、日本とイタリアの違いを調べてみました。
日本の文部科学省が掲げる2021年度の標準授業時数は、学年により異なりますが、850~1015時間※とされています。
それに比べてイタリアはどうでしょうか。
実際に筆者の子どもが通う小学校を例に挙げると、2022/2023年度の年間授業時間は、低学年で915時間でした。
学年にもよりますが、ざっくりと比べるとイタリアの年間授業時間は日本と比べて2週間~4週間分ほど少ないようです。それでも、最低限の授業時間は確保されていて、イタリアの子どもたちは勉強をしていないという印象は決してありません。
ちなみに、イタリアの新一年生は初日からすぐに授業が始まります。始業式や終業式、門出を祝う入学式・卒業式もなく、何ともあっさりとしたものです。
そんなイタリアの小学校事情は、また別の機会にお話しますね。
※出典元:文部科学省 標準授業時数について
働くママにとってサマーキャンプは必須
学校が終わり、長い夏休みになると、子どもたちは喜びます。しかし、「そんなに仕事を休めないよ!」と悲鳴を上げる働くママもいます。3ヶ月間も仕事を休めないので、祖父母などに頼れない場合は、子どもの預け先を探さなければなりません。
そこで多くの働くママが利用するのが「サマーキャンプ」です。
「サマーキャンプ」とは、夏休みの間に通える学童保育のようなもの。キャンプと聞くと、山や川でテントを張って過ごすものを連想するかもしれませんが、ここで指すキャンプはまったく別のものです。
イタリア語では「カンポ」と発音し、野原、グラウンド、田舎、領域などの意味を持ちます。「夏の間、子どもたちが集まれる安全な場所」という意味合いで使われているのでしょう。
サマーキャンプには、両親ともが働いている子どもだけでなく、対象年齢であればだれでも参加できます。多くの場合、小学生以上の子どもを対象としていますが、中には幼稚園でもサマーキャンプとして夏季保育を行う場合もあります。
筆者はというと、在宅で仕事をしているため、どうしても必要というわけではありませんが、小学生の長女を2週間通わせています。
やはり、仲良しのお友達と一緒に通うサマーキャンプはよほど楽しいのか、帰りの時間より少し早くお迎えに行くと「もっと遊びたかった!」と文句を言うくらいです。
3ヶ月間もの長い長い夏休みを楽しく乗り切るには、働くママでなくとも、サマーキャンプは必須だと感じます。
サマーキャンプでソーシャルスキルも身につく
サマーキャンプに通わせる理由は、主に両親の仕事の都合によるものですが、それ以外にも通わせるメリットはたくさんあります。
メリット
- 学区外や違う学年の子どもたちと交流でき、ソーシャルスキルを身につけられる
- 英語やアート、運動に特化したキャンプを選ぶことで、それぞれのやる気を伸ばせる
- 夏休みに入っても、学校に通うように規則正しい生活ができる
在宅で仕事をする筆者が長女をサマーキャンプに通わせている理由は、上記に挙げたようなメリットがあるからです。
特に、ソーシャルスキルを身につけられるところがポイントです。
サマーキャンプに通う子どもたちは、さまざまな地域から集まり、年齢もバラバラ。実際に筆者の長女は、普段通っている小学校とは別の学区にあるキャンプに通っています。自宅から近いことが大きな理由ですが、運動とアートをバランスよく取り入れているカリキュラムが決めてでした。
本音を言うと、引っ込み思案で内気な性格である長女を、自身が通う学校の友人が少ないキャンプへ通わせるのは不安でした。ですが、いろいろな遊びや工作などのアクティビティが楽しいようで、いつも大満足で帰ってきます。
ボランティアとして参加する10代の学生もいて、低学年の子どもたちにとっては、年の離れたお兄さんやお姉さんと遊んでいるような感覚がとても嬉しいようです。
このように、学区や学年を越えて交流できるサマーキャンプは、ソーシャルスキルを身につけるのにもピッタリと言えます。通わせないのがもったいないとさえ思えるほど、子どもたちにとっては有益な経験となるはずです。
デメリット
もちろんデメリットもあります。
- 参加費用はすべて自己負担
- 人見知りをする子はうまく馴染めないこともある
一番のデメリットは費用面でしょう。サマーキャンプは任意参加のため、すべて自己負担です。
物価高の影響を受け、2023年度のキャンプはほとんどが参加費用を値上げしています。
週65~80ユーロ(9,750~12,000円)のところが多く、乗馬クラブや水泳教室の場合、管理費や保険料なども含め週150ユーロ(22,500円)を超えることも。
数週間も通わせるとなると、家計の大きな負担になることが想像できると思います。
もう一点は、人見知りが激しい子は、新しい環境に入っていけずに楽しめないかもしれないことです。
しかし、こればかりは実際に通ってみないとわからないので、迷うなら思い切って通わせてみることをおすすめします。
実際に筆者の長女も、対人コミュニケーションが苦手ですが、楽しく通っています。