2019年5月15日 更新

「ヘリコプターペアレント」は子どもの世界を狭くする?

大切な子どものこどが心配でしかたなく、ついあれもこれもやってあげたくなることって、どこのママにもあることだと思います。ですが、度が行き過ぎてしまうと、子どもに害だと思うもの全てに攻撃的になったり、遠ざけようとしてしまいます。世の中では、こういった親を「ヘリコプターペアレント」と呼びます。ヘリコプターペアレントが子どもに与える影響を、考えてみましょう。

gettyimages (191302)

『ヘリコプターペアレント』という言葉を知っていますか?

その名前の通り、ヘリコプターのように子どものまわりをぐるぐると旋回し、関りを立てない親のことをいいます。「監視」という言い方はよくありませんが、子どもの全てを把握して対処しようとする意味では、あまり変わりません。

子どもというのは、小さく弱い生き物です。自分の可愛い子どもとなると、尚更ですよね。転んでけがをしたらどうしよう、遊具から落ちていたい思いをしたらどうしよう、お友達ができなくて寂しい思いをしないかな、欲しいものが手に入らなくて大泣きする姿を見たくない…悲しい思いをしなくてすむようにしてあげよう。

こういった考えが、ヘリコプターペアレントに繋がってしまいます。

ヘリコプターペアレントって?

gettyimages (191305)

なんとなくイメージできるけど、具体的にはどんな親がヘリコプターペアレントと呼ばれるのでしょう?
●子どもが怪我をすることを回避!
公園でも、児童館でも、どこでも子どもは遊びます。そんなときに、怪我をすることが心配で遊びを制限していませんか?遊具でも、あれはいいけどこれはだめ、と限定したりもそうですね。子供が怪我をするから、遊具の撤去を申請する親もいます。
●子どもに負担がかかることを回避!
小さな身体には、大人にはなんでもないことが大きな負担になります。そこで敢えて、重いものを持たせないなどの工夫をするママもいます。ですが、これも行き過ぎるとヘリコプターペアレントです。以前、ファミレスで、「トイレのドアが重くて、子どもが一人で開けられないから開けたままにしてほしい」といスタッフにお願いしているママを見かけました。小学校ではランドセルが重たくて子どもがかわいそうだから、教科書を学校に置かせてほしい、ランドセルを他の鞄に変えさせてほしいという親もいるそうです。
●子どもの悲しむ姿を回避!
大事な子どもが悲しむ姿は、親としては極力見たくないものです。悲しむ姿を見ないためにも、いろんな対策を練るママはいますよね。こどもアニメで、子どもが好きなキャラクターがやられてしまうと子どもが悲しむから設定を変えてほしいと訴えたママもいます。そういった子どもが悲しむから、周りの状況を変えようとするのは、ヘリコプターペアレントの特徴でもあります。
これらは、一例ですが「子どもにネガティブな経験をさせないようにする」ことが、ヘリコプターペアレントの願いです。

ヘリコプターペアレントが子どもに与える影響

gettyimages (191308)

ヘリコプターペアレントの過度な過保護は、子どもにどんな影響を与えるのでしょう。

ヘリコプターペアレントの願いの通り、子どもは痛みや悲しみ、苦しみや屈辱を経験することなく育ちます。いつでも笑顔でいる子どもを見ると、幸せなんだなと思いますよね。ですが、ネガティブを経験しない子どもは、乗り越え方も分からずに育ってしまいます。

この段差は怪我をするから気を付けよう、このおもちゃは重たいからどうやって片付けようなど、自分で考えることができなくなるのです。

理屈でもそうなってしまうのは、納得ですよね。困ってしまう前に、困らない状況に誰かがしてくれるのですから。自分で対策をたてることもないと、努力をすることを知らないまま大人になります。

優先される自信ばかりが育って、自立心や自尊心は育たず、他人への気遣いもわからなくなってしまいます。おもちゃや遊具の取り合いで、自分が手にして当たり前という感覚になってしまうんですね。

そのまま成長して、いざ困ってしまうのは社会人になったときです。社会人になると、今までネガティブを遠ざけてくれていた親がそばにいないので、社会に適合していけずに困ってしまうでしょう。子どもでいる間に、悲しみや苦しみをしっかり経験して、少しずつ自分で対処できるようになると、社会に出ても自分の足で歩いていけます。

子どもの世界を広くしてあげよう

gettyimages (191311)

子どもにはいろんな体験をして、自分で乗り越える力を持って欲しいと思うママもいます。過度な干渉はするつもりはないのに、気付いたらあれこれ手を出してしまっているママもいます。何と言われても構わないから、自分の子どもには悲しい思いなんて絶対にさせないというママもいます。

どれが間違いで、どれが正解かということはありません。どんな気持ちも、ママが子どものことを考えたうえでのことです。
ですが少しずつ集団に入り、社会に出ていくことはみんな同じです。

自分の子どものことだけを考えてしまうと、子どもが自分で乗り越えたり、お友達と力を合わせたりする力を妨げてしまうのが現実です。

心配でも、子どもが自分で考え、自分で行動する成長を見守ることも、親としてやってあげられることの一つでしょう。失敗することで得られるものもあります。実際、失敗で得ることのほうが大きいですし、失敗で得たことは忘れません。

全て自分でできなくてはいけないことでもありません、全てをやってあげないといけないわけでもありません。極端な考えで導こうとしなくても、子どもの成長を見守りながら何を手助けしてあげればいいのか、考えてみましょう。ママ友や保健師さんや、育児の相談ができる人に相談してみるのも、一つの手段ですね。

ヘリコプターペアレントは、子どもだけではなく、親の世界も狭くしてしまいます。一緒に広い視野で歩んでいけるように、子どもの成長を手助けしていきましょう!
16 件

この記事のライター

K K

この記事のキーワード

元気ママが気に入ったら
「いいね!」をしよう♡

カテゴリー一覧