未婚のまま出産！親子関係はどうなる？未婚出産の場合の父子の関係

日本では皆婚規範が強く、特別な理由がない限り人生の中で結婚することが当たり前とする意識が一般的ですよね。
出生する子どもの約98％が婚姻関係にある男女の摘出子とであると、厚生労働省の調査結果にも表れています。

妊娠をきっかけに夫婦となる、いわゆる「出来ちゃった婚」は26.7％と4人に1人の割合を占め、年々増加。
震災などの悲しい出来事により、家庭を持ちたいと考えるカップルも近年多くなっているようです。

しかし、子どもができても婚姻まで至らないケースも…。
未婚のまま子どもを産んだ場合の父子の関係について、調べてみました。

未婚のまま出産

婚姻関係にない男女間に生まれた子どもは、「摘出でない子」または「非摘出子」といい、非摘出子となる場合、母親が第一の出生義務者となります。

母については、分娩によって当然に発生するとされているため認知は不要ですが、父子関係は外形的事実だけでは必ずしも明確ではなく、父の認知という手続きにより発生するんだそうです。
こちらを任意認知といい、戸籍法の定めるところで届出ることによってなされます。

未婚のまま出産に至っても、その後婚姻または任意認知となれば何ら問題はありませんが、様々な原因や環境により父が婚姻や認知を拒むことも…。

認知を希望する場合

父に認知を希望する場合、まずは家庭裁判所に認知を求める調停の申立てが必要となります。

調停手続きで認知することに合意した場合…裁判所が合意に相当する審判をして認知手続きを行う

調停手続きで認知することに非合意の場合…子や母、法定代理人などが裁判所に認知の訴えを提起し、強制認知を行う

上記のケースいずれも、裁判所で認知請求を認めてもらうには父と子の親子関係を証明することが必須です。（父が既に死亡している場合でも、死亡してから3年経過していなければ裁判を起こすことが可能）

その証明として確実なのはDNA鑑定ですが、父の方はDNA鑑定に応じなければならない義務まではないため、DNA鑑定に至らなかった場合は、懐胎当時の父と母の関係がどうであったか等の立証が必要となってきます。

任意認知であれ、強制認知であれ、認知があると子どもの出生時にさかのぼって父子関係があったものとされ、親子関係に認められる全ての効果が発生することとなるようです。

ただ、どうしても父が認知しない場合は、子どもは「摘出でない子」または「非摘出子」となり、母子だけでの生活が始まります。
”こんなはずじゃなかった…”と後悔するようなことがないよう、パートナー選びは慎重に行いたいものです。

認知後の父子関係

婚姻に至らなくとも、父が認知をした場合は、父母ともに養育権が与えられます。

子どもの親権者は父の認知後も母となりますが、父は母と協議または家庭裁判所の審判があれば親権者となることができるようです。

養育費については、父が負うこととなり、父母が協議して負担割合を決めることとなりますが、協議が調わなければ家庭裁判所に申立て、裁判所に決めてもらうこともできます。

父が亡くなったとき

子どもは父が亡くなったときは相続人となります。
ただし、父が亡くなった後に認知されて相続人になった場合は遺産分割のやり直しを求めることはできませんが、その代わりに相続分に応じた価額の支払いを求めることができます。

子どもの氏と戸籍

認知の直後は氏と戸籍には影響を与えることはなく、子どもは父の認知後も母の氏を称し、母の戸籍に属します。
しかし、希望があれば子どもは家庭裁判所の許可を得て、父の氏へ変わることができるので、氏の変更が認められれば父の戸籍へ入ることもできます。

まとめ

両親が揃っているからといって、子どもはみな幸せいっぱいに育つとは限りません。
婚姻や認知にこだわらず、女性一人で子どもを生み、愛情をたくさん与えながら育てているたくましいママもいます。

子どもにとっての最善とは何かは、子どもにしか分かりません。母親にとって「認知」は難しい問題かもしれませんが、自分はもちろんのこと、まずは子どもにとっての最善を考えられると良いのではないでしょうか？

その一歩としても、今回ご紹介したような様々な制度があることをまずは知っておくことが必要です。