フランス・パリと聞くと、どのようなことを思い浮かべますか?
「歴史的建造物」や「パリコレ」、「高級メゾン」、「グルメ」など、良いイメージをあげればキリがないほどですよね。実際に多くの芸能人や著名人も日本から移住したりしているので、とても華やかなイメージがあると思います。
しかし、フランス生活の実態は、その華やかさとは裏腹に、多くの現実問題を抱えています。例えば、そんな状況を象徴するような言葉であるパリ症候群という言葉を聞いたことはありませんか?
今回はそんな『フランス・パリに住んでいて感じる現実』を、現地在住の筆者が体験談も交えてお伝えしますので、ぜひご覧ください。
滞在許可証の取得・更新の大変さ
外国人として住むとなると、国によって難易度は異なりますが、その国の『ビザと滞在許可証』の取得が不可欠になります。フランスでも、長期滞在のためのビザの申請却下や、住み始めてからの滞在許可証の更新時のトラブルなど、頻繁に耳にします。
「滞在許可証」についてですと、更新のための予約が一向に取れない、書類を提出したけどその後音沙汰なし、などフランス在住日本人のコミュニティサイトでもよく質問があがっています。
筆者の元同僚の話ですと、滞在許可証のステータス(身分)変更を申請したら、その後数年間進展なし。直接行ったり電話やメールでの問い合わせも完全に無視だそうです。申請中のためフランスいることはできますが、出国してしまうと戻ってくることが難しくなるため、ずっとフランスから出られずにいました。
また、自分では解決できず弁護士に頼んで日本円で50万円以上払った友人もいます。
外国に住んでいる以上仕方がないですが、毎回更新の時期になると、準備する書類や予約など、憂鬱になってしまいます。
食が合わない&食費が高くなる!
食に関しては、人によって好みが違うので、合う合わないがあると思います。また、パリには日本のお店があるので、一通りの食材や調味料が買えたり、レストランも多いので、和食は食べられる環境にあります。
しかし、最低賃金はそんなに変わらないのに、フランスで日本のものを購入しようとすると、当たり前ですが全てが日本よりもずっと高くなってしまします。そのため、出費を抑えるため地元のスーパーで購入して和食を我慢するか、食費が高くなっても和食メインにするなど、何かしらの妥協が必要です。
外国人(よく聞くのはアジア系以外)と一緒に暮らしている場合、それぞれ食べたいものが違うため、別々の食事を作ることもあります。
また、筆者もですが、若い頃はあまり和食を食べたいとは思わなくても、年齢が上がるにつれて和食の割合が増えてきます。食以外にも理由がありますが、若い時は外国暮しでも、老後はどうやって日本へ帰るかという問題は、度々フランスに住んでいる日本人の間で話題に上がります。
すぐに日本(実家)へ帰れない
日本で実家の近くに住んでいる場合では、電車や車、徒歩での移動になるため、かかる費用と時間が大きく変わってきます。
また、先程お伝えした滞在許可証の更新時期など、必要な書類が手元にない場合には、フランスに戻ってくることができない可能性もあり、帰国を諦めたり面倒な手続きをしなくてはいけなくなります。すぐに帰れないという問題は、やはり海外に住んでいるデメリットを感じます。
言葉の壁
学習し始めた年齢や個人の適性、どのくらい現地社会に入っているかによってにも変わってきますが、一般的に大人になってから外国語を勉強すると、普通に会話ができるようにはなっても、やはり母国語のようにはいきません。
特に、通常の生活では困らなくても、専門的な事となると単語が分からなくて、いちいち調べないと理解できないことが多くなります。
日本人は、外国人が日本語を話すと「すごい!」と褒めたり、拙くても頑張って理解しようとする人が多いと思いますが、フランスは植民地であった国や移民も多いため、外国人がフランス語を話せるのが当たり前のような感じです。
そのため、外国人が下手なフランス語を話して眉間にシワを寄せられたり、笑われるようなこともあります。
治安が悪い・デモが多い
日本ですと、「落としたものが問い合わせたけど見つからなかった」くらいの話はよく聞きますが、パリでは、「白昼暴行されてiPhoneを盗られた」「人通りが多い道で車上荒らしにあった」「ナイフで刺された」などの話まで身近であります。
デモや暴動で燃えたお店を見かけたりすることも珍しくありません。また、土曜日などにデモがあることを知らずに車で行くと、大渋滞に巻き込まれて目的地へたどり着けなかったことも。
夜道で1人の時など怖いのは日本もフランスも変わらないと思いますが、電車に乗る時やレストランでの食事中、車で赤信号で停車している時など、あまり日本では意識しないことも、フランスですと常に気を付けないといけません。