2024年7月11日 更新

ネントレしたら笑わなくなった?サイレントベビーに関する論文を調査・我が家の体験談

「ネントレで赤ちゃんが笑わなくなった」という噂があります。本当にネントレで笑わない赤ちゃん(サイレントベビー)になることがあるのか、根拠となる論文を探しつつ、自身の経験談も交えてご紹介します。

ネントレで笑わなくなったという噂があるのはなぜ?

どうしてネントレで赤ちゃんが笑わなくなった、という噂が出てきたのでしょうか。それを説明するには、まず「サイレントベビー」という言葉について説明しなくてはいけません。

サイレントベビーとは、柳澤慧小児科医の著書「いま赤ちゃんが危ない ―サイレント・ベビーからの警告」の中で用いた言葉です。「表情が乏しく、笑わない、一見静かに見える赤ちゃん」のことを指します。

そしてその9年後、堀内勁小児科医の著書では、赤ちゃんの表情が乏しくなったのは、アメリカ式強制自立育児法が原因ではないかと述べられています。

アメリカ式強制自立育児法とは?

アメリカ式強制自立育児法とは、簡単に言うと赤ちゃんが泣いても、授乳や不快・危険などの原因がない限りは、あえて放置しておくという育児法を指します。

これは、いわゆる、欧米で広く行われている「ネントレ」の一形態です。筆者自身もイギリス人のナニーによる、「ジーナ式」のネントレを試したことがあります。
「ジーナ式」によると、赤ちゃんの夜泣きが多いのは、眠くなる→授乳するというサイクルに慣れてしまったことが原因の一つであり、授乳と睡眠は切り離すべきと考えています。

そのため、赤ちゃんが自力で眠りに戻れるような習慣をつけるために、あえて放置をしているようです。

しかし、この「放置」が、赤ちゃんとお母さんの愛着に悪影響ではないか?との考えから、「ネントレで赤ちゃんが笑わなくなる」との噂が生まれたと考えられます。

ネントレで赤ちゃんが笑わなくなる根拠はあるの?

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小児科医が指摘した、ネントレと笑わない赤ちゃんについての著書は、25年以上前のものです。現在の研究ではどうなっているのでしょうか。

サイレントベビーと赤ちゃんの睡眠の因果関係を、ChatGPT(精度が高いバージョン4)に尋ねてみました。

以下の論文サイトから調べてほしいことを伝えています。

  • Google scholar.
  • CiNii.
  • J-STAGE.
  • 学術機関リポジトリ(IRDB)
  • Unpaywall(アンペイウォール)

すると、ChatGPTの回答では、ネントレとサイレントベビーの因果関係を示す根拠はないという結論が出されました。

当然、AIが間違う可能性もあると考え、著者自身もCiNii.やJ-STAGE.にて論文を検索してみましたが、赤ちゃんの睡眠に関する論文はあるものの、確かに、サイレントベビーとの因果関係を示す論文は見当たりませんでした。

赤ちゃん自身が難しい研究対象であることから、単に研究が進んでいない可能性はあります。一方、ネット上では「ネントレで笑わなくなったのではないか?」という不安な声が見られるのは確かです。

しかし寝不足などの赤ちゃんの気分の問題や、親の不安から一時的にそう見えてしまう可能性もあるので、一概に因果関係を結論づけることはできないように思います。

そこで次のページでは、筆者が実際にネントレを実践した時の体験談についてご紹介します。

実際にネントレをやってみた体験談

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ここで、筆者が実際に、有名なイギリスの「ジーナ式」ネントレを試した時のことをご紹介したいと思います。

第一子の時は「ネントレ絶対するぞ!」と気合いが入っており、出産前から「ジーナ式睡眠講座」読んで勉強していました。

ジーナ式のネントレは独自のメゾットに基づき、赤ちゃんが出産後すぐから、睡眠時間や授乳時間をかなり厳密に管理する必要があります。しかし、筆者はその厳密さに対応できず、開始2ヶ月で断念してしまったのでした。

1歳前に、ジーナ式のネントレに再挑戦

その後、夜泣きに苦しんだ1歳前の数ヶ月間に、もう一度ジーナ式のネントレを実践しました。

ジーナ式では、睡眠と授乳は切り離すべきとされています。そこで夜泣きですぐ授乳する習慣をやめ、問題がなければ泣いてもしばらく放置するネントレを実践しました。しかし、この時はあまり効果を感じられず、2度目の断念に至りました。

卒乳間近、ネントレに再々チャレンジした結果

1歳になって、おっぱいをあまり飲まなくなってから再度ネントレを実践したところ、次の日から夜通し寝るようになり、ネントレをいきなり卒業しました。

0歳から1歳までにジーナ式のネントレを3度行いましたが、ネントレの次の日に笑わなくなった、というような変化があったことは無く、7歳になった現在の親子関係も問題はありません。

一方で次男は、夜泣きには授乳で対応するなど、ネントレを一切意識しない対応をしましたが、すぐに夜通しで眠れるような手のかからない子でした。

ネントレは効果の確認が難しい

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長時間の育児放棄などで、愛着形成に悪影響を与えることは確かにあるかもしれません。

しかし、普段しっかりお世話していて、愛情を注いでいるのであれば、ネントレのせいでただちに笑わない赤ちゃんなってしまうのかというと、一概には考えにくいです。もしそうでなければ、欧米でネントレが当たり前にはなっていないと思います。

家事や他の子のお世話で忙しいお母さんは、そもそも普段の生活でも多少赤ちゃんを待たせてしまうことはよくあることですからね。

ただし、前項の筆者の体験でご紹介したとおり、ネントレの「効果」という部分には少し懐疑的な見方はあります。

よく「ネントレ数ヶ月実践して成功した」という声も目にしますが、子どもが成長して自然と夜泣きがなくなった可能性もあるので、因果関係を断定することはできません。

夜泣きは辛いけど、ネントレで泣き声を放置するのはもっと辛い、と考えるようであれば、無理にやらなくてもいいのではと思います。筆者は1歳を過ぎてからうまくいったので、時期を変えると成功することがあるかもしれません。

もしネントレを実践するなら?

夜放置するネントレが辛かった筆者は、ゆるいネントレにしようと、昼間は以下のように生活スケジュールを整えることを意識しました。

  • 寝る時間・起きる時間は一定に
  • 起こす時はカーテンを開けて自然に目を覚まさせる
  • お昼寝でも、カーテンを締めて暗い部屋で寝かせる
  • お昼の後に長めの昼寝

お腹の中の赤ちゃんはこうしたスケジュールなど関係なく過ごしています。

しかし、生まれてきたからには、外での生活にも慣れてもらう必要があります。

夜のネントレも生活に慣れるための練習だと思えば、罪悪感を感じる必要はありませんし、ただちに赤ちゃんが笑わなくならないだろうか…と心配しなくても大丈夫です。

筆者は、ジーナ式ではなく、以下のネントレ本が参考になりました。

ネントレで「赤ちゃんの笑顔が減った」と感じたら?

先述の通り、ネントレと笑顔の減少は、必ずしも直接的な因果関係があるわけではありません。まずは他の要因が考えられるかどうか、一緒に原因を探っていきましょう。

お部屋の環境を整える

お部屋の環境が赤ちゃんにとって快適ではないのかもしれません。赤ちゃんにとって快適な室温は夏は25~28℃、冬は19~23℃程度といわれています。室温や湿度、照明などを調整して、赤ちゃんがリラックスできる環境を整えてあげましょう。

赤ちゃんの体調をチェック

発熱や腹痛など、体調不良が原因で笑顔が減っている可能性もあります。むずがったりしていないか赤ちゃんの様子をよく観察し、何か気になる点があれば小児科医に相談しましょう。
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