2019年10月17日 更新

【ママの経験談】自閉症児、引っ越しによる環境変化

自閉症児だけでなく、あらゆる発達障害を持つ子の多くが、環境の変化に適応することが難しいとされています。今回、筆者の自閉症の娘が、引っ越しによる環境変化にどの様な反応を見せたか…その様子をお話しします。

引っ越しによる環境の変化

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引っ越しによる環境の変化がもたらす影響は、自閉症(自閉スペクトラム症)や他の発達障害を持つ子供だけでなく、健常者の子供や大人にとっても大きなものです。

今まで住み慣れた土地・家での生活、仕事・学校、友達や(場合によっては)親兄弟から離れ、全てが一からのスタート。引っ越し作業や移動による身体への負担。そのストレスは大なり小なり、子供も大人も感じるものだと思います。

事実、私たち夫婦も、新しい土地に来て大きなカルチャーショックを受けている真っ只中です。同じアメリカ国内でも、こんなにも何もかもが違うものなんだ…と、越してきて間もなく1ヶ月が経ちますが、そのことを思い知らされる毎日です。

そんな中、特に『変化』を苦手とする子が多い自閉症児。今回、筆者の私も、主人の転勤に伴う引っ越しで一番心配していたのが、自閉症の娘の環境の変化による反応でした。

娘は、1日のルーティンが事細かに決まっており、その通りに事が進まないと大癇癪を起こすのが通例。そんな状態の娘に、2週間を超えるホテル生活、1週間掛けての長距離ドライブ、更には想定外の新居でのトラブルのため、1ヶ月で2回の引っ越し…と、変化のオンパレードにどんな反応を見せるのか、不安以外の何もなかったのが、私たち夫婦の本音でした。

そして、娘の反応は…

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いざ始まった一連の引っ越し…あれほど気を揉んでいた娘の反応ですが、想像していたよりかなり上手く環境の変化に適応してくれました。

あくまで私の推測、そして娘の場合に限っての話になりますが、今まで過ごしてきた環境とあまりに違う環境に晒されたことで(家での生活から、いきなりホテル生活)、これまで習慣化してきたルーティンをこなすこだわりより、好奇心の方が勝ったのでは?…と考えています。

【ホテル編】

この引っ越しにあたって気を付けていたのが、娘が絶対に譲れないであろうことを予め予想し、それらのことに関しては、対応できるようにしておきました。

◎娘の生活のリズム(起床時間・食事の時間・昼寝の時間・就寝時間)を乱さない。
◎食事面のこだわりは、できるだけ応えるようにする。
 ⇒例:朝ごはんで決まって食べる、お気に入りのシリアルは切らさず確保。
    毎食後のヨーグルトは欠かさず用意。
    牛乳は必ず哺乳瓶で、温めたものを用意。

この他、お気に入りのおもちゃも数個持ってきましたが、ホテルの中の物を触るのに大忙しで、おもちゃには全く見向きもしませんでした。

これまでの家での生活は、娘に触られて困る物は触れない場所へ置き、キッチンへのアクセスはナシ、他の部屋へのアクセスも鍵を掛け、1人では出入りできないようにしていましたが、それがホテル生活では、全く制限されない(制限できない)環境なので、娘は好奇心の趣くままやりたい放題でした。

・ミニ冷蔵庫をひたすら開け閉め
・電子レンジのボタンを押しまくる
・引き出しや、クローゼット、バスルームの扉を開け閉め
・ドアの鍵をガチャガチャ
・部屋の電気を点けたり消したり
・椅子に座っては降りる
・ティッシュを出しては入れ直す

…などなど、これらのことを、ホテル滞在中は飽きることなくひたすらやり続けていました。

【新居編】

新居に越してからは、これまでの家とは違う間取りや雰囲気に戸惑いを見せることなく、家の中を散策。ただ、不運にも新居探しではずれクジを引いてしまった私たち家族、新居で荷物を荷解きすることなく、次の家探しをする状況に陥り、ダンボールに囲まれたまま、リビング生活を約1ヶ月することに。

この状況にも、娘は山積みのダンボールをおもちゃの山と思ったようで、中身の軽いダンボールを動かしてみたり、引っ越し業者がダンボールの個数を把握するために貼ったシールを剥がすという遊びを見出して楽しんでいます。

娘の変化について

思っていたより、かなり柔軟な対応を見せてくれた娘ですが、やはりそれなりの変化はありました。

【睡眠】

一番の大きな変化は『睡眠』でした。これまで、娘の眠りに関して特に困ったことはなかったのですが、今回の引っ越しが始まってからは、今までに経験したことのない眠りの変化に直面しています。

引っ越し前は、私のベッドと隣り合わせに置いていたベビーベッドで寝ていた娘ですが、ホテル生活中から、1つのベッドを私とシェア。これがきっかけで、お昼寝の時や夜寝る時も、私がぴったりと横に寄り添い、手を繋がないとなかなか眠りに着いてくれない日が増えました。

問題の新居では、日中ブラインドを全開にしても、電気を点けないといけないほど暗く、太陽の光をなかなか取り入れることができない状態。それに加えて、近場に公園ナシ、安全にお散歩できる歩道すらナシ。これによって、毎朝の親娘の日課であった、愛犬とのゆっくりお散歩(30~40分掛けてのお散歩)もできなくなってしまい、現在の新居では、愛犬が用を済ませたら直ぐ家へ戻る…という、ものの5分程度のお散歩に短縮。

ゆっくりお散歩では、娘は私におんぶされている状態ではありましたが、朝早い時間に太陽の光を浴び、外の空気を思いっきり吸い、外の世界に触れる貴重な時間でもあったので、この時間がなくなってしまったのは、大きな痛手になりました。

また、買い物などのお出掛けも、引っ越し前より減ってしまい、外になかなか出ないため、太陽の光を浴びることが以前よりも確実に少なくなってしまたことで、娘の眠りの質に影響が出ている様子です。

これまでも、夜中に眼を覚まし、そこから1時間~最長3時間近く起きていることがたまにありましたが、この1ヶ月でその回数は激増!更には、お昼寝をしない日が、これまで半年に1~2回程度でしたが、今は数日置きペースでお昼寝ナシ。

よくある、年齢と共に体力が着いて、お昼寝を必要としなくなった…という感じでは明らかにないので、やはり引っ越しによる環境の変化だと思っています。

今回の引っ越しで、一番気を付けていたのが『娘の生活のリズムを崩さない』ことであり、そこは守ってきたつもりでしたが、やはり環境の変化には勝てない部分が出てしまったように思えます。

最終引っ越し先では、現在の住まいで問題になっている、家の中の暗さや、家の周りのお散歩環境にも問題がないので、以前の様に外に出る機会を作り、崩れてしまった眠りの質を徐々に改善して行こうと考えています。
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