2025年4月3日更新

保育士が解説！保育園の“慣らし保育”って何？｜期間・進め方・よくある質問まとめ

保育園といえば、一般的に8～11時間程度の長時間子どもを預けることになる施設ですが、初日からそうではありません。多くの園で取り入れられている入園直後の“慣らし保育期間”について、その実態を紹介します。

慣らし保育で子どもが示す反応と対処法
慣らし保育って何？
慣らし保育のスケジュールは？保育園と家庭の信頼関係を築くステップ
この期間中に行われること
慣らし保育は必須？すぐ呼び出されるって本当？
慣らし保育で子どもが示す反応と対処法
子どもが泣く理由を理解する
上手な別れ方のポイント
慣らし保育に関する保護者からよくある質問
「慣らし保育中に仕事は休むべき？」
「慣らし保育期間の延長は可能？」
「慣らし保育がうまくいかない場合の対処法は？」
子どもは必ず慣れていく！「がんばったね」と笑顔で抱きしめてあげよう

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慣らし保育で子どもが示す反応と対処法

これまでずっとママとべったりだった我が子が、初めての集団生活の場保育園に入園！「大丈夫かな…？」と心配になるのが本音ですよね。

「慣らし保育」は子どもの保育園生活スタートにとって重要なステップです。本記事では、元保育士の視点から慣らし保育の意味や目的、標準的な期間、子どもの反応への対応策までを徹底解説します。

初めての保育園入園に不安を感じてしまうかもしれませんが、保育園側も子どもやママに配慮しながら丁寧に対応してくれるはずですので、先生方と我が子を信じて、ママも「我が子と離れる時間」に慣れたり復職の準備をしたり、はたまた少し羽を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

慣らし保育って何？

お子さんの保育園入園が決まり、「慣らし保育」という言葉を初めて耳にした方も多いのではないでしょうか？

慣らし保育は、その名の通り、保育園に入園したばかりの子どもに、パパやママと離れての新しい環境（場所・先生・お友だち）に少しずつ慣れていってもらうための、ウォーミングアップ期間です。

泣いてしまう子も多いですが、人見知りが少なく一見すぐに適応している子でも、やはり（私たち大人もそうであるように）新しい環境は知らず知らずにストレスがかかってしまい、子どもの場合はそれが発熱等にもつながりやすいですよね。

よって、基本的には、0～5歳児問わず、はじめて保育園に入園をしたり転園をしたばかりの子どもに対しては、一定期間慣らし保育を行う園が多いようです。

日数や時間は園やその子（年齢・適応度合い・家庭の事情等）によって異なりますが、一般的に3日～2週間程度の慣らし保育を経て、朝から夕方までの通常保育に移行していくことになるでしょう。

慣らし保育は、子どもの心理的な負担軽減として、次のような効果が期待できます！

・親との分離不安の緩和
・新しい環境への恐怖心の軽減
・保育士との信頼関係の構築
・新しい生活リズムへの段階的な適応
・他の子どもたちとの関わり方の学習

特に低年齢の子どもほど、このプロセスが重要になります。

慣らし保育のスケジュールは？保育園と家庭の信頼関係を築くステップ

私の勤めていた保育園の一例となりますが、慣らし保育期間中は以下のようなスケジュールで園生活を経験することが多いです。

【慣らし保育7日間の園の例】

朝、指定時間に登園

1～3日目：朝のおやつと歌等午前の活動に参加、11時頃お迎え

4・5日目：上＋昼食を園でとり、お昼寝前（12時半頃）にお迎え

6・7日目：お昼寝、そして午後のおやつまで園で過ごし、短時間保育程度の時間（15～16時頃）にお迎え

8日目～：通常保育開始（17～20時頃等、各家庭の標準保育時間に応じて徐々に通常の降園時間に近づける）

このように、少しずつ様子を見ながら時間とプログラムを増やしていきます。

この期間中に行われること

慣らし保育期間は、子どものためだけでなく、保護者の方々と保育園の信頼関係を築く貴重な期間でもあります。私たち保育士にとっても、お子さんの性格や好みを知り、一人ひとりに合った保育を提供するための大切な時間なのです。

保護者との情報共有（子どもの好きな遊び、食事の好み、アレルギーの有無など）

子どもの園での様子を細かく伝える機会

保育方針や園のルールについての説明

保護者からの質問や不安に丁寧に対応

ある保護者の方は「最初は子どもを保育園に預けることに罪悪感があったけれど、慣らし保育を通じて安心して預けられる場所だと実感できました！」と、嬉しいことを仰ってくださいました。このように、慣らし保育は子どもと保育園、そして保護者との三者の信頼関係を構築する大切なプロセスなのです。

また、保育園側としても、お子さんの個性や家庭での様子を知ることで、一人ひとりに合った保育計画を立てることができます。

例えば、人見知りの強いお子さんには徐々に集団活動に誘導したり、特定のぬいぐるみに愛着がある場合はそれを活用したりといった配慮ができるようになります。

慣らし保育は必須？すぐ呼び出されるって本当？

サービス重視の保育園も増え、慣らし保育はどの園でも必須とは限りませんが、認可保育園の場合筆者の知っているところでは、大半の園で最低3日程度の慣らし保育は必須のように感じます。

やはり、保護者の方が安心して働くためにも、子どもの心身の健康は第一であり、はじめから無理をしすぎるのは返って後で親子でつらくなるケースも多いのではないでしょうか…。

ママが新年度早々復職をせざるを得ない場合等は、パパや祖父母等と協力しながら、慣らし保育中の早い時間帯のお迎えに行く人や緊急連絡先を明確にしておきましょう。

また、「慣らし保育中は呼び出されやすい」という話もあるようですが、統計的な真偽はわかりませんが、新しい園児は特に慎重に、以下のような場合に呼び出しの可能性が高いのは事実です。

泣いて水分が摂れない・ミルク等すべて戻してしまう、泣きすぎて熱が高い（ただ「泣いて可哀想だから」という理由での呼び出しではありません）

（昼食後まで保育がある場合）食事をいっさい摂れない等先生が心配に感じる場合

「在園の子なら38度程度まで園で様子を見る場合にも、新しい子は37.5度ですぐ連絡が来る」等、慣れていないので慎重になるケース

といった感じです。慣らし保育中は、復職準備中等のママは、自分のための時間に充てるのはおおいにOKかと思いますが、あまり遠方に行きすぎたり連絡が取れなくなる事態は避けておいた方が良いでしょう

慣らし保育で子どもが示す反応と対処法

初めての保育園生活では、多くのお子さんが様々な反応を見せます。この世の終わりのように泣いてママと離れられないお子さんもいれば、逆に意外と平気な様子を見せるお子さんもいます。ここでは、慣らし保育中に見られる子どもの反応とその対処法について詳しくご説明します。

子どもが泣く理由を理解する

子どもが泣く理由はさまざまですが、主な原因として以下が考えられます。

親との分離不安

新しい環境への不安や恐れ

生活リズムの変化によるストレス

保育者との信頼関係がまだ築けていない

お子さんが泣くのは、親を信頼し、愛着を持っている証拠。お子さんの様子にショックを受けて心配や罪悪感を感じる必要はありません。むしろ健全な発達の一過程と捉えましょう！

上手な別れ方のポイント

ポイント	注意点
短く明確に別れる	「行ってきます♪」と笑顔で明るく伝え、別れを引き延ばさない。
儀式を作る	ハイタッチやキスなど、毎日同じお別れの仕方をルーティン化する。
帰りの約束をする	お話できる年齢のお子さんには「お迎えは○○の後だよ」など具体的なお迎え時間の目安を伝える。

子どもが泣いているときに親が迷う姿を見せると、子どもの不安はさらに大きくなります。親が自信を持って送り出すことが、子どもの安心感につながりますよ。

多くのママたちが気にするのは、「送った後もずっと泣いているのでは？」という点だと思います。しかし実際には、ほとんどのお子さんは親の姿が見えなくなると、しばらくして泣き止みます。ひきつけを起こしそうなほど激しく泣いていた赤ちゃんでも、お母さんが帰った後、5分もしないうちに笑顔で遊び始めることがあるので、安心してくださいね。

慣らし保育に関する保護者からよくある質問

お子さんの保育園入園を控えたご家庭では、慣らし保育についてさまざまな疑問や不安をお持ちではないでしょうか。私自身も保育士として多くの保護者の方々から質問を受けてきました。ここでは、特によく寄せられる質問について詳しくお答えします。

「慣らし保育中に仕事は休むべき？」

最も多く寄せられる質問は、「慣らし保育期間中は仕事を休まなければならないのですか？」というものです。結論から言うと、可能であれば慣らし保育期間中は休暇を取ることをおすすめします。特に初めの数日間は、お子さんの様子を見ながら柔軟に対応できる環境が理想的です。

「慣らし保育期間の延長は可能？」

お子さんの様子によっては「もう少し慣らし保育の期間を延ばしたい」と感じることもあるでしょう。基本的に、多くの保育園では子どもの状況に応じて慣らし保育期間の調整は可能です。

実際にうちの子は分離不安が強くて、予定よりも1週間長く慣らし保育期間を取りました。園の先生と相談しながら進めたので、焦らずに子どものペースで進められたので良かったです。